3話 聖女
俺の異世界転移を自分たちが体験しているのだという話に、先程叩き起こされた女教師が俺に意見を言おうと口を開きかけたその時、ドアの開く音が聞こえ何事かとそちら側に意識を向ける俺と教師。
するとそこから、この建物と同じく、古風だがとても豪華な服装で着飾った美少女(ココ重要!)と、質の良さそうな紺色のローブを纏った人が数人と、同じローブに加え金銀や宝石などの装飾品をつけたローブの人たちの上司っぽい爺さんがやって来るではないか。
うん、美少女可愛いな。きっとあれは王族だな(確信)
などと馬鹿なことを考えていると、ローブ共が騒ぎ出す。
「や、やったぞ!成功だ!」
「あぁ!それに複数人も居るぞ!これで聖国にも勝てる!」
「これ以上他国の聖女に好き勝手はさせねぇ!」
エラい喜びようである。しかし、先程聞こえた”聖国”や”聖女”、”成功した”などの言葉を聞いてしまえばもう自分たちの立場は確定的だ。
しかし、人様を勝手に読んでおいて謝罪もなしか?ん?
そう思っていると
「目覚めていられるのはあなた達二人だけですか?」
「ああ、そうだ」
「そうですか‥‥。では、これからのお話もありますので、他の皆様方を起こす手伝いをしていただけないでしょうか?」
「それなら、任せろ」
「‥‥私も生徒たちを起こしますが、女子生徒に変なことをしないでくださいよ?」
美少女に話しかけられたのが嬉しくてちょっとした怒りは何処へやら、キリッとした顔つきで受け答えをする。
そして、それを見ていた女教師からはジト目で見られながら忠告もされる。そんな目で見ないでくれ、何かに目覚めそうだ‥‥。
***
それからはローブたちとロブ爺(男なんざ略してよし!)や王女?と女教師と共に生徒たちを起こしていき、皆の目が冷めたところで話が始まった。
「まずは勝手に異界の地にお呼びしてしまい、誠に申し訳ございません」
許す!美少女には激甘である。でも許して、俺だってやりたい盛りな健全男子なんだよ。
だが、DTである。
ドゥーテイで悪かったな、ちくしょー。
俺がDTだ何だという話などどうでもいいから美少女王女?の話を聞こうか。
「まずは私たちの現状を知って貰わなければなりません‥‥。私たちの国、今あなた様方のいる国ですね。その名をアルトニア連合国と呼びます。そして、私はこの国の王女であり、聖女でもある、アルトニア第一王女、サーリャ=アルトニアと言います。」
ほら見ろどうだ!やっぱり王女だったろ?いや、話の腰を折り過ぎだな、すまねぇ…。
「先程、私が聖女でもあると言いましたが、この大陸には7人の聖女がいます。私もそのうちの一人なのですが、この聖女というものは、実はここ数年内に生まれた存在なのです。そしてこの聖女というのはそれぞれ別々の女神を信仰しており、信仰対象の女神より授かった聖なる力で闘う存在のことをそう呼びます。人々は感謝し、聖女‥‥神装の力を使って魔物を次々と殲滅していきました。しかし、ある時一人の聖女が人類……もっと細かく言えば‥‥男性に敵対宣言を出してしまいます。それに抗議を申し出た国‥‥セドラ帝国は‥‥その聖女によって消されてしまいます。」
国を一つ滅ぼせる力を持つ聖女が7人もいて、そしてそのうちの一人があの王女サマ……しかもその国を一つ滅ぼせる力を持つはずの聖女が、俺たち異世界人に助けを求める……いやいやいや、絶対にやばいこと起きてるでしょ。
さて、やっと聖女1人目が登場してきましたね~。彼女は敵なのか味方なのか!?そこは次回で説明できたらいいな~と思います。