2話 異世界転移?
ひんやりとした感触が頬に伝わり、徐々に意識が浮上する。
「うぅ‥‥ぬぅ、ここ、どこだよ。ていうか俺以外にもやっぱり居るんだな」
などと冷静につぶやくが内心は酷くパニック状態である。しかし、脳が落ち着かせようとしているのか、冷静な言葉を発してしまう。
一先ず現状を理解しようと周りを見わたすが、妹――茜たちが倒れていて、何やら古めかしい、されど豪華な作りの建物の内にいて、自分たちの足元には恐らくこちらに連れてこられるときに見た魔法陣らしきものがある、という事しかわからない。
「クソッ、本当にどうなってるんだよ」
静かに怒りの言葉を口にするが、建物に音が反響するだけで誰も何も答えてはくれなかった。
「愚痴っててもしょうがない、か。とりあえずさっきまで授業やってた教師も居るし、叩き起こしてこれからのことでも話すか?」
そう言った俺は行動に移ると共に教師であろう女性の顔をペチペチと叩く。
「お~い」
ペチペチ
「起きろ~」
ベチベチ
「もしも~し」
ベチベチベチベチ
「いや、起きろよ」
パチン!
「あいた!」
こんな時に中々起きない教師に対し少し怒りを感じ、ついつい強めに叩いてしまったが気にしない。
彼女も起きたことだし、話を勧めよう。
「やっと起きたか。あんた、新星学院の教師だろ?」
「え、あ、はい、そうですが、ってどこですか此処?」
よくよく考えたら普通はこんな変な場所につれてこられたらまずは混乱するよな‥‥。とりあえず彼女を落ち着かせてから話そうか。
「おい、いいか?よく聞けよ。まず、俺達は変な円陣から放たれた光を浴びて気を失った、OK?」
「は、はい。そうですね。確かに私たちは青白く光る円陣が浮かぶと同時に、動けなくなって……大きく光ったと思ったら、今の状態で……」
彼女もとりあえず落ち着いてきたようだな。そろそろ本題に入るか。
「あぁ、そうだ。そんでもって、俺は、その、ト、トイレを借りていてだな。その時の帰りにあんたらの教室の近くを通りかかったときにその光に巻き込まれたんだよ。」
嘘です!めっちゃ覗いてました、ごめんなさい!
でも結果的にあなたたちを助けられるかも知れない(出来るとは言ってないが茜と雫ちゃんのためなら全力を尽くそう!)から許して!
いや、そんなこと考えてる場合じゃないな。今度こそ本題に入ろう。
「それで、だ。二次創作物を嗜んでいる俺としての考えは、見た目古風だが、綺麗で豪華な作りになっている。そして俺たちを包み込んだ魔法陣らしきものから考えると、だ。もしかして俺たちは異世界に転移させられたんじゃねえのか?ってことだ。」
まぁ異世界に転移以外にも単純に実は現実で『実験をしてて間違えて操作したらあんたら呼んじゃったよ。テヘペロッ、取り敢えず機密事項だがら秘密にしててね』とかもあり得るのだがね。
俺が異世界転移モノが好きだから勝手にそう考察しただけだから、まだ何が起きているのか理解ったわけじゃない。慎重にならないとな。
活動報告の方も上げさせてもらってますので、興味のある方は覗いてみてください。