第九話「入学式」
なんとなく怜奈は「グローヴァル・メタルテック・テクニカル・スクール」に入学してしまった。本当は怜奈が入学するのを反対しそうな母親も半ば育児放棄を決め込んだため、手続きはあっという間に済んでしまった。
そもそも「グローヴァル・メタルテック・テクニカル・スクール」の入学資格は、中学卒業、閉所恐怖症でないこと、怪我をしていないこと、とりあえず入院が必要な病気でない事、それだけでやる気があれば入れるところだった。もっとも、付いていけるかどうかは別問題だった。
入学式の日、全国からマシンガール・プロレスラーを夢見て集まった少女たち・・・といいたいところだけど、中にはとんでもない少女もいた。学校で適応障害とされて脱落した高校中退者も多かったからだ。そんな少女は親が鍛えなおしてもらう事を期待して入学させられた生徒だった。
「おう、お前らわしと勝負せんかよ! かかってきやがれ! ここは格闘を教えるところだろ!」
髪の毛をピンピンにした無茶苦茶な態度の少女がいた。彼女の名は大郷詠美で、まるでナイフのような不良だった。本当にやる気があるのか疑問に思うような少女だった。
入学式が始り簡単な説明と挨拶が一通り終わると、クラス分けが行われた。怜奈はレスラー養成課程に入ったが、ここにあの詠美がいた。彼女はまるで時代遅れのような特攻服みたいなものを着ていたが、ここで教官ロボが新たな指示をだした。
「今回、入学した二十人の訓練生ですが、これから全て脱いでもらいます。これから機械の中に入る事に順応する訓練を開始します。もし拒否する場合には、ここで失格とします!」
その言葉に、一同驚いていたが意外な反応をしたのが詠美だった。
「そういうことかよ! はよう脱ぐからはやく着替えを用意しな! 」
そういって詠美は決めてきたかのような衣装をあっさりと脱ぎはじめた。それにつられるかのように他の訓練生も脱いだが、ここで新たな指示が出された。
「それでは訓練生の皆さん。これから訓練プログラムの始まりです。いま、ここで脱いだ私物は全て預かります。ここから、あなたたちは身体ひとつで入学してもらいます。あなたたちは今日はメディカルチェックをいたしまして、どのようなレスラーが最適かを判断いたしますので、シャワーを浴びたら各自割り振られた所定の位置に戻ってきてください」
そのあと、全員がシャワーを浴びて戻ってきたら、全員がカプセルのようなものに固定されてしまった。