人魚の入り江
任務当日。ルミナへの疑念が残ったまま、討伐の目的地である入り江に向かっていた。
「今回のターゲットって確か……人魚だったか?」
サーシャは横目で海を眺める。討伐地となる入り江は静かで穏やかな風が流れていた。
「入り江に行った人達が襲われてるって話だったけど…」
アクトはクロートに視線を送る。
「今向かっている、あの入り江に行った男達が行方不明になっているらしい。目撃者によれば下半身が魚の尾だったらしい」
そう言って入り江を指差す。
「討伐前に作戦の確認をする事になっている。それまでは"勝手なことをするな"だそうだ」
クロートはそう言って代表者の所へ歩いて行った。
その頃。待機組の2人の男がこっそりと入り江に入って行った。
「おい、俺らだけで手柄を立てることが出来れば金儲け出来るぞ」
「そうだな。先に手柄を立てちまおうぜ」
そう言って、入り江を捜索し始めた。
その背後に何かが迫っていることすら気づかずに……。
「うわああああああああ!!!!!!!!!」
その叫び声に皆が反応する。
「すぐに突入する。行くぞ」
その指示に従い、一斉に入江に進行していく。
穏やかだった入り江はその姿を消し、戦場となった。しかし、叫び声の主と敵と思われる者の姿はどこにもなかった。
指揮をとっていた代表者達も驚きを隠せない様子で辺りを見渡す。
アクトも入り江へ入り、捜索を始める。
「~♪」
ほんの僅かだが歌のようなものが聞こえ、アクトは振り向いた。