ぼっちの戦い 秋の陣
I'll be back.
この夏の持ちネタでした。
サングラスをかけて深夜にやったら中笑いでしたね。
ぼっちの敵。そもそも一人で基本周りから相手にされないぼっちに敵などいるかどうか聞かれてみると一瞬悩むが、確実にいる。
それは社会というモノである。
社会また場の空気やノリといわれるモノだ。
空気が読めない、通教『KY』という略語が流行ったりしたが、ぼっちに空気を読まそうとするのが根本から間違えだったりする。そもそも空気って何?なんで僕が君らの出している空気なんぞ読まなきゃいけないんだ。
そんな嫌な空気からぼっちを救うのが、イヤホンまたはヘッドホンである。
耳に当てることで社会から拒絶の意を表し、大小さまざまな集団からの接触を拒むことの出来るぼっち三種の神器の一つで大概のぼっちが音楽プレーヤーを持ち歩くのは音楽を聴くためではなく拒絶のために持ち歩いていることだろう。
前置きはここまでとして、この三種の神亀を持ち歩いているぼっち君にも一つ問題が生じてしまった。
教室に早めに行って寝たふりをすることが面倒になってきたぼっち君はギリギリに教室に入ることに情熱を注ぎ始めていました。
いつものように全力で電車に飛び込み、社会との拒絶をしようとポッケトに入れたままだった音楽プレーヤーを取りだし一言。
「耳当てがない」
白い音楽プレーヤーに突いている黒いイヤホンの左の耳当てがないのです。
近眼のためいつも細めている目をさらに細めざるを得ません。
電車の長椅子に座り、天を仰ぎ一言。
「不快だ」
いつも不快に聞こえる電車の走る音はいつも以上に大音量で高音質なステレオで聞こえており、ぼっち君は思わず現実を直視したくないためか目を瞑ります。
ぼっち君の辛い一日の始まりでもありました。
いつもはイヤホンをして周りの音を少音としていたぼっち君に周りの音はあまりにも強烈でした。情報過多でした。
人の声は不快感を覚え、笑い声は不気味に聞こえる。被害妄想の強い彼には辛い現状でした。
電車という魔の乗り物を降り、本日最初の吐き気が彼に襲い掛かります。
目線の奥には赤信号。目線の手前は人、人、人、人うじゃうじゃといます。人混みが広がっています。まるでゴミの用です。
ゴミの一角であるぼっち君の耳には眼下に広がるゴミの声が聞こえます。
先ほども電車でダメージを受け、心身の主に心にダメージが受けているぼっち君への追い討ちへ繋がります。
思わず朝食べたハヤシライスの匂いが鼻を突きぬけ焦りと不快感が彼の体中駆け抜けていきます。
信号が青になるのと同時にぼっち君は歩みを始め、歩みはそのまま駆け足に変わり集団を飛び出していったのでした。
需要があるかいささか疑問です。