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魔界な人々

魔族な私と魔王な彼氏様。

阿野根の作者、小説家になろう様初投稿より一周年記念作品!

というほど御大層なものではありません。

よろしくお願いいたします。

のはずが間違えて今日投稿しました。

申し訳ございません。

ほぼ一周年記念作品?ということでお願いします。

正式には11月16日です。

彼氏様じつは本業、魔王様だったんだね?

ビックリしたよ。


玉座とやらに座ってついでに私をいつも通り膝の上に抱き込んだ彼氏様を見上げて口をあんぐり開けた。


「ん?何?」

彼氏様がのたまった。

ついでに口づけして口ふさぐんじゃない。

横目でみるとよく見ると高位の魔貴族様たちがどこか不本意そうにひれ伏してる。

「魔王様そちらの女性は誰ですか?」

彼氏様の側近らしい顔色が少しオレンジっぽい男性が言った。

「私の彼女だけど?」

魔界最高位の権力者はいけしゃあしゃあ言った。

ついでに私のおしり撫でるな!


はじめまして一般魔族で魔界の一角にすんでるミゼル・キッアルです。

種族的には魔王様と同じ人型魔族というか人に近すぎて魔族意識が薄すぎてついに人間界に出稼ぎにいっちゃったほどです。


居酒屋『夜のはな』でバイトしてたんです。

誰も私が魔族だなんて気がつきませんでしたよ。

私の首筋に顔埋めてキスマークつけまくってる彼氏様以外は。


最初は居酒屋の客だったんです。

「生中一杯!」

彼氏様の開口一番がこれでした。

「オレは里の穂馬!イーちゃんツマミなんにする?」

一緒に来てたおっさんが言った。


どうも仕事先のおっさんたちに連れてこられた若者らしい。


「うーん唐揚げに刺身盛り合わせかな♪」

イーちゃんが言った。

「天婦羅盛り合わせもよろしく。」

他のおっさんが言った。

「かしこまりました。」

極々普通の飲み会だったので普通に対応して普通にお帰りいただいたんです。


金髪碧眼の外国人さんだぁと自分の茶髪に緑の目を棚に上げて思ったけどね。

今、カラーコンタクトもあるし茶髪も普通の人もしているんでまったく目立たないんですよ。

平平凡凡ばんざーい。


もう会うことがないと思ってたので。

コンビニに買い物して帰ろうとしたら

イーちゃんに偶然あったんですよね。

あの人超美形ですから気がついたんです。


単なる客だし、ま、しょせん平凡な私には気がつかないだろうということでおでんを買って肉まんかってゆったり茶かって帰った帰り道。


勿論、実家は魔界ですから安アパート借りてます。

それに田舎だから道がくらいんだよね。


「魔族だよね、君。」

突然声をかけられた私はよろけて支えられた。

別に戦闘能力も膨大な魔力もないんで運動神経きれてるので転ぶんです。


見上げるとさっきの綺麗な金髪の兄ちゃんに受け止められてました。


「な、何の話ですか。」

私はさささっとご○ぶりのように素早くはなれた。


田舎の細い道路に金髪の美青年が月の明かりを背にたたずむ姿は幻想的だったけど。

自分的にはやばい人だったらどうしようとばかり思ってました。

だって、半分自分が魔族って忘れてたから…はい嘘です完璧忘れてました。


「…オレも魔族だから警戒しなくていいよ。」

金髪の不審者状態の彼氏様は微笑んだ。

「私は単なる人族ですよ。」

ハハハハと自分が魔族と思いだした私はカラ笑いをした。

「隠さなくていいよ、それよりおでんこぼれてるよ。」

彼氏様に指摘されて地面をみると大事な食糧がおちてました。

よろけたとき手から離したみたいです。


道路に広がる香しきおでんの汁…ああ、大根様が…はんぺん様が…つくね様が…白滝様が…おこぼれになられた…はっ肉まん様だけでも救出しなくては!

肉まん様はおでん様の汁がしみてました。


「今日のご飯お茶だけ?」

私は地面からお茶のペットボトルを拾い上げて嘆いた。

「面白い子だね。」

彼氏様が楽しそうに笑った。

「私は悲しいので帰ります。」

そう言っておちたおでん様たちと肉まん様も回収してアパートの方にあるきだした。

ゴミ(になってしまったおでん様たち)はきちんと回収しないとね、さすがに汁は回収できないけど。


冷凍おにぎりあったかな…カップメンでもいいんだけど。


それが私と彼氏様との出会いなんです。


まあもう会わないだろうと高をくくってました。

魔族がどうとかはおでん様たちが墜落されたショックで忘れてました。


「今日は食事にいこうか?」

次の日、彼氏様にまた待ち伏せされました。

「なんであなたがまたいるんですか!」

私がまた逃げようとすると彼氏様に腕を掴まれた。

「逃げると全国魔族連絡会に報告するよ、無許可でバイトしてるんでしょう?」

彼氏様が痛いところをついてきました。


ええまあ、人界入界申請はとおってますがバイト許可はとってません。

いろいろ煩雑らしいのでめんどくさいし就職するわけじゃないのでいいかなっとおもいまして。


「どうすればいいんですか?私お金ないからファミレスでおねがいします。」

たかられるのかな?

それに朝方にやってる所なんてファミレスくらいなんじゃないの?

「ファミレスね。」

また楽しそうに彼氏様がわらってその日はファミレスのリデラで食事した。


ふわふわオムハヤシライスそこそこでした。

牛肉少し硬いかな?

彼氏様はファミレスのハンバーグをまるで高級レストランのような美しいしぐさでたべてました。

始終楽しそうに笑ってましたけど…。

それにおごってくれたし良い人だと思ったよ、うん。


その後なし崩しにご飯を食べに行ったり出かけたりするようになっていつのまにやら彼氏様は私の彼氏様になったんだよね。


その日は私の安アパートでイチャイチャしつつテレビをみながらくつろいでた。

もちろんソファー何てもんはないから床に長座布団にこたつだけどね。

まあ、壁薄いから少し防音魔法つかったけどね。

「ミゼル…そろそろ魔界に帰って結婚しようか?」

私をいつも通り膝の上にのせながら彼氏様が言った。

「ええ?無理なんじゃないの?」

そう言いながらテレビに視線をむけた。


このころにはなんとなくこの庶民なふりした彼氏様が私とちがって人型魔族でももっと上の方だってわかってたよ。

いくら私がニブチンでもさ。

彼氏様の子供を産む為の愛人にはなれても奥さまにはなれないってわかってることだしさ。


下級人型魔族の特徴は長い寿命と相手の属性をそのまま子供に受け継がせることなんだよね。

まあ、つまり高位の魔族的には結婚とはべつに自分の属性そのものを受けづがせる事が出来る下級人型魔族をかこうのが慣例らしい。

相手が人族の時とちがって全然力は薄まらないし。


だから余計に出稼ぎきたかったんだよ。

魔界の住んでる所の実力者が妖しい目でみてたし。

まあ、器量の良い人から相手がきまるんだけどね。


「ミゼルはオレの事信じられないの?」

彼氏様がそう言って私の首元をなめた。

「信じてるよ。」

私はカラ返事をした。

「どうすれば信じてくれるのかな?」

そう言いながら彼氏様が私を押し倒した。


テレビではタレントのハギさんが食べ歩きのレポートをしてる。

はやりの生クリームたっぷりのパンケーキを食べてるのが見えた。


「ああ、パンケーキ食べたい。」

私は現実逃避した。

「…ミゼル逃がさないよ。」

彼氏様が甘く笑って…パンケーキは食べられませんでした。

はい、逆にたべられたんですが…。


しばらくして全国魔族連絡会から呼び出しうけたんだよね。

無許可バイトくらい見逃してくれたっていいじゃないさ。


「あー、魔王宮に呼び出しになってますね、何したんですか?」

全国魔族連絡会の犬顔の職員さんが目を見開いて言った。

「何もしてませんよ!」

どうして魔王宮からよびだされるのさ。

「まあ、死ぬとはかぎりませんから。」

職員さんに慰められた。


ああ、どうしよう。

毎日のように押しかけてた彼氏様がこの間から来てないんだよー。

どうせ死ぬなら最後に会いたかったよ。


ああ、どうせ死ぬんだと思いながら言った魔王宮。


「ミゼル・キッアル様ですね、受けたまっております。」

どこか金属的の受付職員さんがいった。

ミゼル・キッアル様なんて呼ばれる身分じゃないんだけど。


案内役の職員に導かれてあれよあれよと身支度を整えさせられて。

あのー、そのワンピースよそいきなんですとっといてくださいともいえず。


魔王イルギス様の御前に引き出されたわけです。


「面をあげよ。」

怖くてろくろくみなかった私は聞き覚えのある声にええ?と思った。


段上の玉座とやらに…金髪碧眼の超美形の魔王様が…彼氏様が優雅に腰かけてた。


な、なんの冗談ですか?

せいぜい下級魔貴族だと思ってたんですが?


「他人のそら似?」

私は極小さい声で呟いた。

「聞こえてるよミゼル、本人だから。」

彼氏様が微笑んだ。

「そ、そうなんですか?」

ああ、逃げたい。

こっちとら立派な庶民なんで礼儀もへったくれもないよ。

魔王宮にくるのは大罪を犯して処刑されるときと言うのが庶民の常識です…たぶん。

「ミゼル、これでわかったよね。」

彼氏様が低めの美声で言った。

「え…あの殺されるのですか?」

私なんか悪いことした?

彼氏様に無礼なことしまくったから?

でも彼氏様が好きで膝の上に抱き込んだり抱き締めたりしたんだよ?

ご飯食べにいった時ちょっともらったりしたから?

「殺される?相変わらずミゼルはおもしろいね、こっちにおいで。」

彼氏様が笑いながら手招きしたので。


いいのかな?と思いながら。

まるで置物のようにたってる私より上位の護衛官を横目におずおずと彼氏様の方へ行った。


「捕まえた、もうはなさないからね、死ぬまで。」

彼氏様が笑いながら私を抱きしめた。

「あの?その死亡予定はいつですか?」

死ぬ前に彼氏様には会えたけど、魔界の親にも会いたいし友達は両方の世界の友達にお別れ言いたいんだよね。

「もちろん寿命がつきるその日でいいんだよ、私の魔王妃。」

彼氏様がそういいながらいつも通り膝の上に抱き込んだ。


ま、魔王妃様って誰ですか?

まさかどっかにいるんですか?

私はキョロキョロ辺りを見回した。


「ミゼル、君が私の魔王妃だからね。」

そういいながら彼氏様が私に口付けた。


彼氏様、公式の場では一人称『私』なんだねとか現実逃避をしながら。


「ええ?私が魔王妃様?」

どうしよう絶対に無理、魔界のどっかの上級魔貴族の令嬢に惨殺されるに決まってる。


それならここで処刑された方がいいよ。

一瞬ですむもん。


「うん、だからどっかのだれかの愛人になるの禁止。」

彼氏様がそう言って耳たぶをかんだ。

「愛人になる予定はないですが、魔王妃様になる予定もないです。」

恐る恐る彼氏様に言った。

「ミゼルの意志は関係ないから。」

彼氏様が爽やかに微笑んで言い切った。


ええ?困るよ!死にたくないもん!

正確には苦しんで死にたくないだよ!

人界の外国の映画見たよ、どっかの皇帝が寵愛した庶民の女性を責め殺した正妃の話があってさ。

魔界ならもっとエグいって思ったよ。

ああ、怖い。


「魔王様、高官方が謁見を賜りたいともうしております。」

取り次ぎ官(確実に私より上位)が彼氏様の前で礼をしていった。

「ミゼルを見にきたようだな、通すがよい。」

彼氏様が言った。


かくして冒頭のシーンに繋がるわけです。


あのさ、彼氏様。

私、ぜひ普通の下級魔族生活を人界でエンジョイしたいんで諦めてください。

人界に遊びに来たときにまたお付き合いするからさ。


「魔王様の彼女様はお側室様と言うことでございますね。」

オレンジっぽい男性魔貴族が愛想笑いを浮かべた。

「魔王妃のミゼルだ見知りおけ。」

彼氏様は平然といってのけた。

「さようでございますか。」

感情がこもらない声でオレンジっぽい男性魔貴族が言った。


他の魔貴族もよくわからないけど怖い。


「結婚式の準備を致しますので彼女様をこちらへ。」

オレンジっぽい男性魔貴族が言った。

「ミゼルは手元におくからよい。」

彼氏様がそう言って今度は胸元に顔を埋めた。

彼氏様の頭越しにオレンジっぽい男性魔貴族を見ると少し怖い顔をしてた。

目が合うと取り繕った表情をした。


こ、殺される?


「さて、いこうか。」

彼氏様が私を抱き上げて立ち上がった。

「ど、どこに?」

うちに返してください。

いっそ人界追放でも良いから!

「私の部屋だよ、準備が整うまで愛を確かめようか?」

彼氏様が妖しく微笑んで玉座の脇の扉を開けた。


そこは廊下だった。

護衛官(確実に私より上位)が静かに付きそう。


あそこの突き当たりの扉が『私の部屋』なのかな?


重厚な扉が開かれて豪奢な内装が見えた。


「どこから食べようかな。」

嬉しそうに彼氏様…魔王イルギス様が笑った。


えーと魔王妃様業お断りしていいですか?


私、人界でバイトしながら楽しくおでん様とか焼き上げフランク様とか石窯やきチーズケーキ様とか味噌付け焼きまん様とか湯の華せんべい様とか人界のジャンキー、ローカルフード系を堪能しつ能天気に暮らしたいんです。


だから彼氏様!私の平穏無事のために諦めてください!


高位の魔貴族の御令嬢の方がいいですよー。

あなたのこと大好きだけど魔王妃様なんてなれません


力一杯お断りします!

だって死にたくないもん。

読んでいただきありがとうございます

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[良い点] 話のテンポがいい [気になる点] 後日談がほしい [一言] おもろい
[一言] 飯テロ短編いただきました。 そこら中に旨そうな飯が散らばっているなんて…夜に読むんじゃなかったですよ、腹ヘリましたがな。 居酒屋で魔王様に出会えるならバイトも頑張れます、私はやります、無許…
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