表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不実の夢  作者: 神崎真紅
6/11


「さて・・・と、ハラも一杯になったし・・・って、おい、華恋。」


「え?な〜に?」


「だから勝手に消えるなって、言ってんだろが?」


「だってここのケーキがあたしを呼んで・・・。」


まだ食うのかよ?


冗談だろ?


「・・・買って帰れ、な?」


「うん。買って来る〜。」

はぁ〜・・・。


なんちゅう自己中な奴だよ、全くもう。


碧は縁石に腰を下ろして、煙草に火を付けた。


街行く人が、振り返る・・・。

それだけ碧は際立って目立つ程、綺麗だ。


「お待たせ〜。」


華恋の持っている箱の大きさから、軽く20個は入っているだろうと、容易に想像がついた。


「・・・誰が食うんだ?それ?」


「あたしだよ?」


・・・何処に入るんだ??

買ってきちまったもんはしょうがない。


「帰るか?」


「ん〜・・・。」


何となく、歯切れの悪い返事の華恋。



「ウチ、来いよ?」


「うん。」


その言葉を待っていたかのような、華恋の返事に、碧は笑った・・・。


「華恋?泊まっていくか?」


「えへへ〜、いいの?」


帰り道、碧が聞いた答えに、華恋は喜んで言った。


「何だよ?最初っからそのつもりなんじゃねぇか。」


「あれ?そうだっけ?」


(とぼ)けて答える華恋に、やれやれといった様子の碧。


「夕飯、どうする?」


「ん〜じゃ、あたし作ろうか?」



「マジ?お前料理出来んのかよ?」


物凄く不振そうに、碧は聞いた。



「お鍋でいいんじゃない?」



「鍋は料理とは言わん。」


碧はきっぱり言い切った。


やっぱりな・・・。


華恋が料理なんか、出来ると思ってなかったからな。


「いいよ、鍋で。材料買って帰ろうぜ?」


「うん。あとお酒もね?」


・・・まだ呑むのかこいつは。


スーパーでふたりで食材を買い込む。



「てめぇ、飯のおかずより酒の方が多いじゃねぇか。」



「いいじゃん〜。そんな事言ってあたしより碧の方が呑むくせに。」



「しかも何だ?このチョコレートの山は?」


「あたしチョコないと生きていけないの。」


・・・だからどんな生き物なんだよ。


さっきケーキだって買ってただろうが。



「あ〜もういいだろ?さっさと帰るぜ。」


これ以上いたら何買うか判らねぇしな。


「待ってよ〜・・・。」


華恋は荷物を持って、碧の後を追いかけた・・・------


華恋が荷物を持って、碧の後を追う・・・------


「貸せよ。」


そう言って碧は、半分荷物を受け取った。


「んふ、ありがと。」


「てめぇの歩くのが遅いからだ。」


そう言ったけれど、碧は華恋に気遣っていたのが、よく判った。





--------碧の部屋---------


「ねぇ〜これくらいでいいかなぁ??」


「てめぇ、どんな切り方してんだよ?」


「食べられればいいじゃんか〜。」


あ〜・・・----

やっぱりな。


でも、こんなに楽しい思いを・・・。

あたしはした事がなかったな。


碧は、子供の頃母親に捨てられた。


碧を育てたのは、母方の祖母だった。


反対に華恋は、3人姉妹の真ん中で、両親に甘やかされて育った。


・・・この華恋の性格は、そんな家庭環境から出来上がったのだろう。



「ふぅ〜・・・。やっと出来たぁ〜。」


「華恋が悪いんだろが?」


「えぇ〜??何であたしよ??」



「・・・自覚ねぇのかよ。いいや、食おうぜ?」


「よし、お酒持って来るね〜。」


・・・そういう時だけは、早いんだな。


碧が呆れて見ていた・・・--------


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ