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不実の夢  作者: 神崎真紅
3/11

――――朝。




華恋は、何時もより少し早めに、会社に着いた。


昨日雛に話した事が、引っかかっていて、眠れなかった…。




「お早う。伊藤華恋。」


その聞き覚えのある声に、振り返る。


「川野主任。お早う御座います…随分早い出勤ですね?」


「ああ。ウチの部署は役立たずばっかりだよ。」




…また怒ってるんだ。


今回は誰が犠牲者なのかな?




「華恋、コーヒー。」


って…呼び捨てですか?


「はい、どうぞ。主任…―――。」


あたしの手からカップを取り上げ、碧の手が頬に当たっている…。


ひんやりと冷たい感触―――


「華恋…可愛いな。」


はははい??


「しゅ…主任?あの…?」


どうしたらいいのか、困っているあたしに気づいた碧は、笑いながら言う。


「わりぃな。びっくりしただろ?」




そりゃあ…。


正直心臓バクバク言ってますよ。


「あの…?主任?あたしに何かミスがありましたか?


…恐る恐る聞いてみる。


「華恋はねぇよ。あってもお前の事は怒ったりしねぇ。」


…??


どういう意味に取ればいいんだろう??


「主任?」


「碧でいいぜ?誰もいねぇしな。」



ふふ…―――




微笑んだ碧は、とても綺麗で…。


あたしにはやっぱり叶わない夢なんだなって…―――


「華恋?どうした?」


咄嗟に言葉が出た。


「あたし主任が好きなんです……。あっ、迷惑ですよね。今の聞き流して下さい。」




―――多分呆れた顔をしているだろうな。




そんなの見たくないよ〜。


焦って自分のデスクに戻ろうとした華恋の手を、碧が掴んだ。



「あたしの事を好きなんて言ったヤツは、後にも先にも華恋だけだよ。」



「え…?でも主任には彼が…。」


「とっくに別れたさ。」


そう…だったんだ。


「ごめんなさい…。あたし余計な事を…――」


華恋の言葉を遮ったのは…?


碧の華奢な白い指先だった。


「いいって。気にすんなよ?華恋の気持ち嬉しいよ。」


「本当ですか?・・・いや、気を使ってくれたんですね?」



「そう思うのか?」


そう言った碧の表情は、何だか凄く儚げに見えて、あたしは思わず碧の手を握っていた・・・-----



「あたし、好きです。しゅ・・・碧さんが。」



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