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プロローグ

見てる人いないと思うけど、書き直します。

基本的な流れは変わ・・・てるな。

まあ、問題ないでしょう。


       慟哭のメメントモリ プロローグ



 ボーン、ボーン、ボーン。

 月明かりで照らされる室内に壁に立て掛けられた、古い柱時計の鐘の音が響く。

 窓から差し込む月明かりが木の黒と黄色が掛った白を基調にした畳張の室内を白く照らしている。

 部屋の隅に置かれた本棚が備え付けられた机に、衣類が仕舞われた箪笥{{タンス}}がある。

 その反対側には、木製のベットがあり、白い掛け布団がこんもりと盛り上がっている。


 チックタク、チックタク。


 鐘の音が止まり、秒針の進む音が小さく聞こえる。

 長方形の部屋の真中には小さいテーブルがあり、小さい、ランプや、薬品が入っているであろう、真鍮の壺、すり鉢や、和紙、筆などが乱雑に置かれている。


「・・・・」


 掛け布団の中から聞こえるかすかな吐息が、そこに人がいることを教える。


 カタカタッと外の風で木の窓枠が揺れている。


 その窓に隙間でもあったのか、それとも、外の風で出来たのか、窓から金色に光る粒が室内を泳ぐように、漂う。

 窓がガタガタと鳴る度、隙間から入り込む、金色の粒の量は増えていき、金色の、一筋の川になる。

 その金色の川の流れる先には、小さいテーブルがあった。

 窓から流れる金色の粒の川は、テーブルの上にあった真鍮の壺や、擂り鉢ごとテーブルを飲み込み、そのまま、反対側の扉の方へ流れ、出ていく。


「んっ」


ゴソリと傍らのベットの布団が小さな呻き声と共に小さく揺れるが、すぐに、規則的な寝息が聞こえてくる。

 サワサワと静かに、だが徐々に大きくなって部屋を横断する金色の粒の川とそれに気付かない部屋の主の吐息と、壁に掛けられた時計の秒針が、夜の(とばり)に沈む室内の時を刻む。



 チックタク、チックタク。



「んっ」

 秒針が時を刻む中、ゴソリと再びベッドの小山が動く。

「んん?」

 水色の布団がゆっくりと捲り(めくり)上がっていき、中から、現れたのは、十歳前後の少年であった。

 寝癖でボサボサになった黒髪に、ダークブラウンの瞳のその少年は寝惚け眼をゴシゴシと拭いながら、周囲を見回し、再びゴシゴシと両目をこする。


「・・・なにこれ?」


 思わず呟かれた一言。

 さもあらん、少年の目の前に移った光景は、寝る前とは多きココとなっているからだ。

 その光景は一言。



『黄金の運河』である。



 金色(こんじき)の粒が左から右に流れていくのを見下ろしながら、少年はゆっくりと腕を差し伸ばし、触れる。

 触れたという感触はなかった、だが触れた先から、さらさらと、水のような柔らかい感触を指先から受ける。

「これは、エーテル?でも、こんなキレイなものは・・・?」

 ぽつりと呟かれた言葉。

 森羅万象より生まれ、世界を循環し、森羅に宿るエネルギー体、エーテル。

 それは、ありとあらゆる意思、感情に感応する物体。

 命の源、魂の素とも呼ばれる存在。

 ある時は癒し、ある時は害すもの。

 それの本質は、さながら水や空気のようなものである。

 だが、それゆえに、それは無色の存在、何かしらの感情や意志に反応するとはいえ、可視化されるほどのものは、それだけ強く汚染されていることになる。

 だが、目の前の物はそれほど、環境に害するほどの物とは思えない。


 金色のエーテル。


 母の話では、淀んだエーテルの浄化を得意とする法術系統の魔法において、時折見ることがあるエーテルと聞いている。


 しかし、母も、自身も浄化系統を不得意とする魔術と個人レベルの魔法、術者自身が魔法の対象となるものが主となる魔法、武術の扱いは得意としても、広範囲の浄化を得意とする法術の扱いは苦手である。


 では、目の前に流れる、これはいったい?

 疑問が頭をぐるぐるとまわる。

 明らかに、だが静謐に、人に害をなさないほどに浄化されたエーテル。

 だが、自然にできたとは思えないほどの密度を持ったエーテル。

 眉間にしわを寄せ、目の間を左から右に流れるエーテルを見下ろし、気付く。


「?渦?」


 眼前。

 膝くらいまでの高さしかないテーブルのあたりで、金色のエーテルが渦を巻いているのだ。

 身を乗り出し、渦の底を見る。

「・・・あれは、壺?」

 そこにあるのは、少量の塗り薬を入れておくための、手の平サイズの真鍮のツボであった。

 先日、町に訪れた際に、行商から買った、古ぼけた真鍮の壺。




 チックタク、チックタク。




 古ぼけた時計の秒針を刻む音の中で、壺を撮ろうか、視線を左右に彷徨わせる。

 そして、ゆっくりと、ベッドから降り、警戒しながら、廊下へ続く扉へと進んでいく。



 一歩、二歩、三歩。



 あと一歩。それで、扉の取っ手に届く。

 四歩目。

 ガチャリと扉に手を掛ける。




 チックタク、チック、ボーン、ボーン、ボーン。




 壁に掛けられた時計が深夜を告げる中で、ゆっくり、ドアノブをゆっくりとひねっていく。



 ボーン。




 最後の一音。

 深夜の鐘の音が止んだ。

 その瞬間、ドンッと、エーテルの渦が爆ぜ、衝撃が走る。


「うわっ!?」


 金色のエーテルのしぶきに、思わず悲鳴を上げ、巻き起こった衝撃波に体を壁に叩きつけられる。

 壁に頭を打ち付けたのか、側頭部から血を流し、ずるずると腰を落とす。

 だが、そんな少年をよそに、エーテルの渦はその速さを加速していく。

 ゴウゴウとまるで濁流のごとく流れるエーテルの渦。

 その渦の先にある小さな真鍮の壺。

 バフン、と圧縮された空気の破裂した音と共に蓋が弾け飛び、瑠璃色の光が真鍮の壺の中から溢れ出す。

 吹き出すエーテルの閃光、それは朝焼けの空の色とその空に浮かぶ星屑のような光の粒が、壺の中から吹き出す。

 次の瞬間、頭の中に声が響く。


“ミツケタ”

“ワレラノ主タリシ者”

“王ノ力ノ継承者”


次の瞬間、渦を巻き、壺の中から吹き出すエーテルが爆発的に膨張していき、世界が、白に染まった。




 その日、一軒の民家が、原因不明の炎に包まれた。



“試サセテモラウゾ”


さて、本当の慟哭までどこまでやら・・・

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