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 「同じクラスの白水 沙希だよ。鶴来 進くんだったよね?よろしく!」

 彼女と始めて話したのは小学2年生の夏だったと記憶している。

元々の引っ込み思案も手伝って、ここに引っ越して来た時も人と上手く話せなかった僕に、始めて親しく話してくれたのが沙希だった。

沙希はいつも成績優秀で、美人で、クラスの人気者。

僕とは正反対の女の子。

いつも明るくて、元気で。

沙希は僕の憧れだった。

 沙希は物語を想像するのが好きで、いつも僕に話して聞かせてくれた。

僕も沙希の物語が大好きだった。

キラキラした世界観のわくわくするようなファンタジーの話や、ドキドキするような恋物語。

なにより、それを楽しそうに話す沙希が大好きだった。


 それは小学5年生の冬のことだったと思う。

透き通るような青空の下、将来の事について話していた。

何故そういう話しになったのかは覚えていないが、楽しかったということは覚えている。

隣を歩く沙希が嬉しそうに口にした。

「サキは、将来小説家になりたいな」

「沙希ならなれるよ!」

「ほんと?」

「うん!」

僕は自信を持って頷いた。

わくわくして、ドキドキして、先の気になる物語。

それを書ける沙希なら絶対なれる、という核心のようなものまであったような気がする。

ニコニコと笑う僕につられて沙希も満面の笑みを浮かべた。

「じゃあ、サキが物語を書いた時は進が読者第一号になってくれる?」

「うん!」

 そう、僕等は約束した。




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