第8話 潜入捜査
「はい、御坂です」
「御坂君、悪いけど娘の千鶴と連絡が取れない」
「会長、早速調べてみます」
「悪いね。いつも」
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御坂恵子は電話を切って千鶴のGPSを調べた。
地図から住所が判明する。
恵子は女学園のボディーガードを連れ車の助手席に座った。
黒いスーツの男は恵子のメモを一瞥して車を急発進させる。
「御坂さん、この住所は如月邸ですがよろしいのですか」
「駿君、此処で合っている筈よ」
駿はアクセルを全開して未来女学園の外の道に出る。
桜の花びらがフロントガラスに纏わり付き邪気を祓った。
アスファルトは桜の絨毯に変わっている。
「御坂さん、桜の花びらが厄介です」
「駿君、無理しないでいいわよ。安全運転で」
「ありがとうございます。御坂さん」
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「会長、今、千鶴さんのいる場所に向かっています」
「ありがとう。気をつけて」
恵子は電話をバックにしまって駿を見た。
「御坂さん、あと少しで目的のエリアです」
「なにも無ければいいですが」
如月邸の大きな建物が見えて来る。
赤レンガの塀に囲まれた中に5階建ての白いビルが見えていた。
低層マンションと変わらない大きさに驚く恵子と駿。
ふたりは邸宅に気を取られ建物の反対で監視していた黒い車に気付いていない。
邸宅の裏側では灰色のマイクロバスが停車していた。
数人のスタッフが撮影機材を降ろしている。
如月邸から出て来た家政婦2人が停車中のバスに乗り込んだ。
しばらくして、グレーのスカートスーツの女が2人バスから降りる。
女は如月邸の裏口に向かって中に消えた。
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男が黒い車の中で、携帯を耳に当て報告している。
「はい、ロケは順調です」
「家政婦2人はOLに扮装しています」
男は電話を切り煙草を咥えてライターを探した。
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御坂は如月邸のインターホンを鳴らす。
駿は御坂の横に待機していた。
如月碧の秘書は家政婦に出されたお茶で、夢の中を彷徨っている。
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「はい、如月ですが」
御坂は言葉を選んで言った。
「今日、こちらに未来千鶴さまが訪問されていると思います」
「いいえ、こちらには、そのような訪問者は見えていません」
無愛想な女の言葉に御坂の直感が危険を知らせる。
御坂は記憶の断片を手繰り寄せた。
御坂は会長の依頼で一度だけ、如月邸を訪問したことがあった。
御坂は、もう一度インターホンを押して尋ねる。
今度は別の女が出て“いない”と無愛想に吐き捨てた。
御坂はボディーガードの駿にアイコンタクトで合図を送る。
駿は無言で玄関横の勝手口の扉をこじ開け中に入った。
ダイニングルームに倒れている人の足が駿の視界に入る。
駿はジャケットの中に手を入れた。
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玄関前にいる御坂恵子の耳に銃声が聞こえた。
咄嗟に御坂は距離を計算する。
御坂もスーツのジャケットの中から短銃を取り出した。
声を殺し携帯で応援を要請する。
突然、玄関の扉が開いた。
駿があどけない顔を出し御坂に微笑む。
「御坂さん、もう大丈夫です。女が2人倒れています」
「駿君、応援がまもなく到着するわ」
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緊急車両が5台到着して制服警官が10人降りて来る。
駿はかすり傷を受けたが無事だった。
女2人は駿の弾丸で足を負傷して動けない。
千鶴と優と秘書の3人は解毒のため入院した。
女2人は警察病院に移送され尋問を受けることになる。
如月邸を監視していた謎の黒い車はいつの間にか消えていた。
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御坂恵子は未来会長に連絡を入れ経緯を説明している。
「御坂教頭、いや御坂警部補、今回も君のお陰で助かりました。あとで御礼します」
「会長、まだ未解決事件がありますので」
「分かりました。潜入捜査を継続してください」
御坂は電話を切り駿を抱きしめた。
「駿君、大丈夫、痛い」
駿の耳が赤くなっている。
かすり傷の出血で白いワイシャツの襟に血痕が付着していた。
「ところで、駿君、カフェの方は分かった」
「御坂さん、まだかかりそうです」




