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カンイジューニカイ  作者: はお


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【第四話】ケンシになるべき人間

お久しぶりです!

いつの間にか年が明けてしまいましたが、今年もゆるりと書き続けていければと思っています。


本年もどうぞよろしくお願いします。

この日は、いつにも増して校内中に緊張感が張り巡らされていた。


「どんな方なんだろうね、トクイ様というのは」


緊張の糸に縫い目があったとすれば、そのわずかな隙間をするりと抜けてしまったような平常心で仁以菜はその話題を口にした。

学校生活も折り返し地点を迎えた頃、生徒たちの育ち具合を偵察に第1カンイ:トクイ様自らがこの地へ赴き授業を見学なさるというから、生徒たちはこの有様なのだった。斯く言う碧仁もそのうちの1人である。

要人に仕える家系に生まれ、ある意味人並み以上にそういった地位ある者との関わりに慣れている仁以菜にとっては、大したことではないようだ。

そしてその仁以菜がまさに仕えている一族の長男坊で双子の弟に現役カンイを持つ雪弥もまた、仁以菜と同じく至って普段通りの生活の中にいた。2人に対して胸の内にある志しは似たものを感じている碧仁であるが、この時ばかりは生まれ育った環境の差を感じた。

とはいえ、ただ位の高い人間にお目にかかるという条件だけでは碧仁だってここまで怖気づくこともない。


「トクイ様の眼には、我々がどのように映るだろうね」


カンイはブローチを授かったその瞬間から、役職につき唯一無二の能力を与えられる。

その中でも最も高い階級にあるトクイのブローチが司る力は、"品格を見極める目"。

トクイに認められれば、ケンシの候補生として箔がつくし何より本人の自信になる。またトクイを始めとするカンイにとっては、将来自身の身を託すに値する人材であるかその目で見極められる良い機会であろう。

「大丈夫だよ。碧仁は実技も学力もこの学年の中ではトップクラスなんだから。堂々としていたらいいよ」

見かねた仁以菜が励ますと、碧仁も彼女の激励に応えるように頷く。



午後、実技の授業中にその時は来た。

自然体な姿をこの目で見たいとのご意向で生徒たちに訪問時間はアナウンスされていなかったが、道場での稽古中、静かに開いた扉から姿を現したその御方こそトクイ様であることはその纏ったただならぬ貫禄と光り輝くブローチから生徒の誰もが察した。

生徒たちは、気にしないふりをして黙々と稽古を続けた。碧仁もその1人だった。

トクイ様はその目を光らせ、稽古に励む生徒1人1人を見て回っていた。丁寧な足取りではあるもののその足が止まることはなかったが、碧仁と仁以菜ペアのそばまで来るとふと立ち止まった。

思わず碧仁も仁以菜も組み合う手を止めトクイ様へ一礼すると、彼はまっすぐと碧仁へ視線を向ける。


「なぜケンシへの道を選んだ?君はケンシになるべき人間ではない」


あまりに受け入れ難いその御言葉に、碧仁はただ呆然とするしかなかった。

「お言葉ですが、トクイ様」

碧仁の実力を誰よりもよく知る仁以菜は思わずといった様子でトクイへ反論しようと試みるが、トクイはその掌を仁以菜の前で広げ制止する。

トクイが道場を出て行くまで2人してその場に立ち尽くす羽目となったが、指導教官から声を掛けられ我に返り稽古を再開した。


「トクイか何かは知らないが、碧仁はここにいる誰よりもケンシに向いてると私は思うよ」


すっかり自信を失いかけていた碧仁に、仁以菜はその言葉を掛けてくれた。



ー翌朝

いつものように教室へ入ると、碧仁は異変に気づいた。


「…机が減ってる」


思わず声に出すと、先に登校していた仁以菜も碧仁の言葉に頷く。

始業のベルが鳴る。昨日まで同じ教室にいたはずの同級生が数名、その時間になっても姿を現さなかった。

きっと偶然ではない。ここにいない人数となくなった机の数は完全に一致していた。

時間でいえば数分だったあの一瞬で、生徒は篩にかけられたのだ。品格を見極める、その瞳によって。


「それなら、なぜ俺は残されたんだ…?」


トクイ様は確かに仰ったはずだ、碧仁はケンシになるべき人間ではないと。しかしながら、碧仁はこの学校におそらくトクイの判断のもと残された。理解しようにもしようがない不思議な話である。


朝礼後、中間試験の結果がコクバンに映し出された。


〈総合順位〉

1位:雪弥

2位:仁以菜

3位:碧仁


順位の1番上にその名が刻まれていた彼が偶然にも隣りにいたため、碧仁は「おめでとう」と祝福の言葉を送る。

「トクイの目より、自分の実力を信じる方がいい」

昨日のトクイ様とのやりとりは、雪弥の耳にも届いていたらしい。

珍しい相手に励まされたこともあり何となく気恥ずかしかったが、素直に「ありがとう」と返しておく。


試験結果の隣りには、もう1つ重要な知らせが映し出されていた。


ー以上の結果を基に、実地研修の配属先を決定する


いよいよ授業は、教室から実地へと広がっていくのだった。




今回、ついにカンイの1人が登場しました。

トクイ様の目によって見極められた生徒たち、おそらく1話のアイツや3話のアイツは篩にかけられいなくなっていった方なんだろうな…と思ったり。


そして次回からは実地研修が始まるので、おそらくその他のカンイも登場することとなるでしょう。


果たして碧仁は誰とともにどのカンイのもとで研修を行うこととなるのか、それは次回のお楽しみです。


それではこれまたいつになるかわかりませんが、また次回!

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