千年の契り、空を翔けるー好きになった人は…天狗様。どうか、来世でー

深山に棲む黒羽の天狗・蓮翔は、村のために捧げられた人間の少女・澪と出会う。
人と天狗という種族の違い、定めを前にしながらも、ふたりは心を通わせ、互いの魂に契りを結ぶ。

しかし、その恋は悲劇の結末を迎えた。

「たとえ来世でも、またおまえを見つけ出す」

そう誓った蓮翔は、千年の時を越え――再び目覚める。

現代。
大学生の美緒は、奇妙な鈴の音を聞くようになる。
ふとした瞬間に響くその音は、彼女の胸の奥に、かすかな懐かしさと不安を残す。

時を越えて結ばれた魂が、再びめぐり合うとき、世界は静かに軋みはじめる。

「おまえを守れなかったあの日から、俺は……ずっと、おまえを呼んでいた」

今度こそ、運命に抗うと決めた。