第1話 あの日見た先生は
孤独な二人の話です。
文が変でも、お手柔らかに~
優しい性格に笑顔、恐らくこの学校で彼を嫌いな人なんていないだろう。ついでに言うと顔も良い。
それが理科の先生である、嶋 零斗だ。
イケメンで性格も良いなんて、人生勝ち組だろう。
――僕と違って。
「なあリオ。これやるよ」
そう言ってクラスメイト…藤本が、消しカスやら紙くずやらを机にパラパラ置いていった。
僕は顔をしかめたが、言っても自分が不利になるだけなので黙って俯いた。
それがいつもの光景。このクラスにはいじめがある。
僕を憐れむ人はいるが、助けようとする人はいない。
それでいいさ。いや、それがいい。僕に関わったら、標的が移るだけだ。
漫画みたいに…颯爽と現れた友達が僕に手を差し伸べ、二人で乗り越えよう、なんて甘っちょろい世界じゃない。第一、僕に友達はいない。
…なんか僕って寂しい奴だな。やめよう、こんなこと考えるの。
机に置かれたゴミを集め、教室の外にあるゴミ箱に捨てに行く。
そんな単純な作業でも、僕にとっては少し苦しい。
まるでバリアでも張っているみたいに、僕の周りを皆で避けるのだ。
まあ、寄ってきて暴力振られるよりはマシだけどさ。
さて…次の時間は理科だったか…移動教室だるいなぁ…
周りはまだ移動しないようだ。なんせ、友達とのお喋りで忙しいのだ。
友達のいない僕は、いじめっ子からのイタズラがなければ、十分間暇でしかたない。
本を読もうにも、持ってきた朝にはもう読めた状態ではない。
僕は誰にも聞こえないように溜息をすると、理科室へと歩き出した。
移動教室がだるいとは言ったが、理科は好きだ。
理科が得意かどうかは別として、先生が優しいからだ。
こんな僕にでさえ優しくしてくれる。先生の鑑のような人だ。
いつも笑顔で、笑ってない所なんて見たことな――
理科室に着いて早々に、僕はドアの陰に隠れた。
前言撤回だ。
先生がカッター片手に、とても、冷たい目をしていた。
あんな先生…初めて見た。
「あ、璃音さん。こんにちは」
突然の声に全身が震え上がった。心臓に悪い!
「せ、先生。こんにちは…」
先刻の表情はどこへやら、先生はいつもの笑顔でそこにいた。
「先生…さっき…」
い、いや聞いて良いのか!?迷惑かもしれないし…
僕が言葉を詰まらせた時、ぞろぞろクラスメイト達がやってきた。
僕を見るなり、皆睨むか逸らすかで、僕の横を通っていく。
改めて、自分の孤独を実感してしまった。
先生が、僕だけに優しくしてくれればいいのに。
心のどこかで、先生の優しさを求める自分が惨めで、笑えてきた。
悪いところがあったら、教えてくれると嬉しいです!