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7-7 闇

 シャムは薄暗い一室で、自分の配信を終えた後、虚空を見つめながら回想に沈んでいた。

 窓もない、朧な光が揺れる室内は、冷たく殺伐とした雰囲気に包まれている。


(……昔から、あたしはずっと寂しかった)


 子供の頃、両親は仕事か何かに忙しく、ほとんど相手をしてくれなかった。

 家には物質的な豊かさはあっても、温かい言葉や愛情は欠けていた。


(誰もあたしを見てくれない。誰もあたしを肯定してくれない)


 手近な手段で注目を集めるため、若い頃から男に媚び、甘ったるい声を出し、身体を投げ出してきた。


 VTuberになった後も、その癖は変わらず、事務所のマネージャーが少し優しくしてくれただけで心を傾け、関係を持った。


(なのに、あの男は結婚してたんだって?ふざけんな)


 復讐するしかなかった。

 配信でマネージャーを晒し上げ、醜態をさらし、諌めてきた同期VTuberを逆恨みし、個人情報まで掲示板にばらまいた。


 そうすれば、あたしが痛い目を見る?知ったことじゃない。どのみち誰もあたしを本当に愛してなどいない。


 ならば世界を憎み、世界から奪うしかないのだ。


(全部敵だ。

 あたしより可愛いやつ。

 あたしより人気があるやつ。

 あたしを認めないやつ。

 みんな消えればいい)


 シャムは唇を舐めるように歪め、眉をひそめる。


 ふと耳に入った噂——あのVTuber、猫神ルナが復活したという報せを聞いて、血が煮えたぎるような怒りがこみ上げる。


(あんなおばさん、中身がバレて人気が落ちると思ったのに……

 復活したって?許せない、許せない!)


 両手で髪を握りしめ、シャムは細い声で呟く。


「地獄に叩き落としてやる……もう一度、アイツを粉々にして、泣かせてやる。

 VTuberなんて、このあたし一人でいい。

 アイツがまた上がってくるなら、何度でも叩き落としてやるわ……!」


 嫉妬と憎悪が混ざり合い、シャムの瞳は暗い炎に包まれる。


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