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7-3 バ美肉

 薄暗い森の中、黒い木々が不吉な影を落とす中、一人のVTuberが息を切らせながら走っていた。

 名は鞠茉莉(まりまり)まる。

 個人勢として活動している彼女は「バ美肉系VTuber」として知られている。


 バ美肉——それはおじさんがバーチャル世界で美しい肉体を得てVTuber活動することを指す。

 まるはおじさんであることを隠さず公言し、むしろそれを売りにして人気を得ていた。


 だが、今、そのおじさんを自称する彼女は必死の形相で森を駆け抜けている。


「はぁ……はぁ……もう、おじさんなんだから走らせないで〜!」


 まるは必死に叫ぶが、その声には悲壮感が滲んでいる。

 足音が近づいてくる。後ろを見ると、黒い影が闇を裂くように追い迫っていた。


 黒髪のツインテール、猫耳、そして手には死神の鎌を携えたその姿。

 鬱猫シャムだった。


「あははははは! まちなよ、おじさん!」


 シャムは楽しげに笑いながら、凶器を振りかざし、飛び跳ねるように前進してくる。


「なんで僕を追っかけてくるのさー!」


 まるが必死に問いかけるが、シャムは冷ややかに告げる。


「この世界にVTuberはあたし以外いらないのよ!

 さぁ、消えてもらおうか!」


 死神の鎌「ザ・リッパー」を横に薙ぎ払うように振ると、その軌跡は闇を切り裂き、まるを避ける暇もなく襲いかかった。


 刹那、鞠茉莉まるは悲鳴を上げる暇もなく斬られ、地面に倒れ込む。

 その衝撃で変身が解けていく。


「さーて、どんなハゲ親父が出てくるのやら?」


ニヤニヤと笑うシャム。


 しかし、そこに横たわるのは意外なことに、脂ぎったおじさんではなく、一人の少女だった。


「は? おじさんじゃないじゃん……」


 シャムは不満そうに鼻を鳴らす。

 思った獲物と違う、想定外の展開に苛立ちが滲む。


 か弱く倒れた少女を見下ろしながら、シャムは舌打ちするような表情を浮かべていた。


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