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7-2 休息

 エルフの里は、混乱と戦いが過ぎ去り、再び静寂を取り戻していた。

 世界樹の根元には焦げた跡や砕けた木片が残るものの、命の脈動はまだ感じられる。

 エルフたちはやや距離を置いて、倒れた仲間を手当てし、破壊された住居を片付けている。


 そんな中、美咲は一軒の家屋の中、布団に腰掛けていた。

 先ほどまで猫神ルナとしてゴッデスモードまで発動して戦ったが、その代償は大きく、今は中の人である美咲の姿に戻り、身体中が重く力が入らない。


「お待ちしておりました……」


 やがて里長とその母親、アリュリアが部屋に入ってきた。

 先日までは高貴で近寄りがたかった彼らも、今は頭を垂れ、申し訳なさそうな表情を浮かべている。


「猫神ルナ……いや、美咲殿、とお呼びすべきでしょうか。

 この度は……里のものが差別的な態度をとり、誠に申し訳ありませんでした。」


 里長は深く頭を下げる。

 アリュリアもその後ろで穏やかに目を伏せている。


「私たちエルフは、古来より世界樹に認められた高貴な種族と自負しておりました。

 しかし、人間は力を伸ばし、時にエルフ狩りなども横行し……プライドの高い我々はそれを受け入れられず、憎しみが心を蝕んでいたのです。」


 アリュリアが静かに語る。


「そうして人間への偏見と蔑視が根付いてしまいました。

 でも、あなたは人間でありながら、我々を救ってくれた。

 それは私たちの考えがいかに狭く醜いものだったか、思い知らされる結果となりました。」


 里長も同調するように頷く。


「美咲殿……心から感謝し、謝罪いたします。

 どうか、我々を赦してはいただけないでしょうか。」


 美咲は驚きと戸惑いを抱きながらも、ゆっくりと口を開く。


「私は……そこまで気にしてませんが、エルフさんたちがそう思ってくれただけで、嬉しいです。

 みんなが生き残れたなら、それでいいんです。」


 微笑を浮かべようとするが、疲労が重くのしかかる。


「無事勝利を収められましたが、その代償は大きいはずです。

 しばらくこの里で養生されてはいかがですか?」


 アリュリアが優しい声で勧める。


「そうですね……ちょっと休まないと、体がもたない……」


 美咲は同意する。

 この機会に一息ついて、これからどうするか考えなければ。


 そこでみけのすけが画面のセッティングをし、ルナの姿で雑談配信を開始する。

 美咲は立ち上がる気力はないが、魔力でルナの姿を投影する程度はできるらしい。


 ルナはカメラ越しに微笑み、コメント欄を見つめる。


「みにゃさん、ただいまですにゃ……

 いろいろあって、疲れたので1週間ほどお休みしますにゃ。

 ちょっとエルフさんたちにお世話になりながら体を休めますにゃ。」


 コメント欄では、にゃん民たちが「無理しないで!」「ゆっくり休んで!」「待ってるからね!」と優しい言葉をかける。


「ありがとうですにゃ。

 みんなのおかげで、また頑張ろうと思えますにゃ。」


 こうしてルナは一時の休息を宣言し、配信を終える。

 

「適切な休息こそ長くVTuberを続けるコツだよ」


とみけのすけは満足そうに言うのだった。


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