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6-10 虹

 突然、視界の片隅に文字が流れ始めた。

 美咲は思わず息を呑む。


 みけのすけが黙って配信を開始したことに、美咲は気づくのが遅れた。


 「戦えなくても、僕たちが応援する!」

 そんな力強いコメントが流れた直後、にゃん民たちの声はさらに勢いを増していく。


 みけのすけがひそかに繋いだ配信は、古参も新参も巻き込んで大盛り上がりになっている。


にゃん民: 初見です! がんばって!

にゃん民: 身バレしても別にいいじゃん!オレは推すぜ!

にゃん民: まとめから来ました!面白い展開すぎるwww

にゃん民: ババアって聞いてたけど、地味なだけじゃん、逆に推せるわ!

にゃん民: 久々に見たけど、やっぱルナちゃん(中の人さんも)好きだよ!

にゃん民: 頑張れ頑張れ!ルナちゃん気にすんなー!

にゃん民: 今時、中の人透け透けだって推し続ける人はいるんだから気にしないで!

にゃん民: の◯キャットですでに通った道なんだわw


 驚き、戸惑い、そして戸惑いながらも微かな安堵が美咲の胸に広がる。

 確かに中身がバレてしまった。もうルナの仮面は完全には守れないかもしれない。

 でも、それでも「応援する」「気にしない」「逆に推せる」と笑い飛ばしてくれる人たちがここにいる。


「金は愛だ!」

 突然、コメント欄で誰かがそう叫んだ。


 瞬間、高額スペチャが画面を彩り、オレンジや赤、虹色のスパチャ帯が乱舞するように流れていく。

 「オレも行く!」「私もスぺチャ!」と次々に金色の輝きが追加され、画面はまるで七色の虹のようになった。


 美咲は息を呑む。

 お金は確かにありがたいが、それ以上に、この行為は「応援したい」「支えたい」という気持ちの表現だとわかる。

 金額の大小より、そこに込められた愛が、美咲の凍えていた心を溶かしていく。


「……こんな私でも、応援してくれるんだ……」


 声が震える。

 中の人がバレても、ファンはいてくれる。

 ルナじゃなくても、人間らしい自分でも、価値がないわけじゃない。


 自分は一人じゃない。

 中身がバレても、幻想が少し壊れても、ファンはここにいる。

 ならばもう一度立ち上がろう。もう一度、VTuberとしての夢を届けてみよう。


 美咲は、弱々しかった拳をかすかに握りしめ、かすれた声でつぶやく。


「私、もう一度VTuber、やっていいのかな?」



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