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5-10 クイーンアント

 ラジコン化が解けると同時に、ルナはがくりと膝をつきそうになるほどの疲労感に襲われた。

 さっきまで虫嫌いの恐怖すら忘れて機械的に動いていた反動か、全身が鉛のように重い。


「はぁ…はぁ……何……この疲れ……」


 ルナは肩で息をしながら周囲を見回す。

 地面には大量の虫の残骸が散乱しており、エルフたちは唖然として立ち尽くしている。


「俺たちが倒しておいたよ!」と、にゃん民たちがチャット越しに声をかける。


にゃん民: ナイスファイト俺たち!

にゃん民: まさか本当に指示で動くとはな

新規にゃん民: ここってVTuberに自由に指示できるチャンネルなんですか?おもしれー


「み、みにゃさん……ありがとうですにゃ……」


 ルナは弱々しい笑みを浮かべる。

 実際にはルナが動いたのだが、にゃん民たちがコマンドを打ち、虫を倒す上で明確な“操縦者”になっていたことは確かだ。


 一方、みけのすけはエルフの治癒魔法士に回復魔法をかけられていた。

 光の粒子が降り注ぎ、みけのすけは少しずつ呼吸を整えている。


「よかった……みけのすけも助かりましたにゃ……」


 ルナがホッと安堵のため息をついたその時、地面が震えた。

 ゴゴゴ……と鈍い振動と共に、世界樹の根元付近の地面が盛り上がり、巨大なアリ型のモンスターが姿を現す。


 そのアリは、これまで見た虫よりも遥かに大きく、まるで城ほどのサイズを持つ巨体。

 ツヤツヤの黒い外殻が光り、女王蟻のような威圧的な存在感を放っている。


「な、何ですにゃ……あれ……」


 エルフたちが悲鳴を上げる。

 アリモンスターたちが再びざわめき、地面に散らばる虫の残骸を拾い集め、クイーンアントに差し出している。

 クイーンアントは嬉々としてそれを貪り、嚙み砕く音が不快なまでに響く。


 そして、クイーンアントはその栄養を元に新たなアリモンスターを生み出しているようだった。

 地面の穴から次々と湧き出す小型のアリモンスターたちが、キシャーと音を立ててエルフたちを睨む。


「こんなの、どうすれば……!」


にゃん民: ヤバすぎるだろ

にゃん民: せっかくラジコンモードで倒したのにまた…

にゃん民: ラジコン化スキルは?


 ルナは急いでVTubeスタジオを確認するが、「ラジコン化」のアイコンはグレーアウトしており、再使用できない状態だ。


「また……あの強力な手が使えないですにゃ……」


 途方に暮れそうな気持ちを押し殺し、ルナは何とか立ち上がる。

 このクイーンアント、そして湧いて出るアリモンスターたちは、世界樹とエルフの里を滅ぼしかねない脅威だった。


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