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3-4 スペチャのゆくえ

 シアに案内され、ルナは街中を少し歩いた後、小さな宿屋の看板の下で足を止める。

 宿屋は木造りで、家族で営んでいるらしく、奥には薬屋も併設されている。


「ここが私たちの家なんです。

 宿屋と薬屋を一緒にやっているんですよ。」


「えっ、シアさん家ですかにゃ?

 ご家族で頑張ってるんですねにゃ!」


 ルナが微笑むと、コメント欄が反応する。


にゃん民: 宿屋と薬屋併設とか便利すぎ

にゃん民: 家族経営RPG感あるw

にゃん民: 母親が薬屋で、おばさんが宿屋担当かな?


 中に入ると、威勢のいいおばさんが笑顔で出迎える。

 頬が赤らんだ優しげな女性で、エプロンを身につけている。


「あら、シア、帰ったのね!

 ……その方は?」


「おばさん、ルナさんっていう冒険者さんです。

 私が襲われていたところを助けてくれたんです!」


「ええっ、本当なの!?

 まぁ、なんてお礼をしたらいいか……」


 おばさんは感激して目頭を押さえる。

 にゃん民たちは「いいおばさんっぽい」「優しそう」とコメントで盛り上がる。


「今、母は体調が悪くて自室で寝てるんです。

 だから薬屋の方はしばらく私が手伝っているんですが……

 とにかく助けてくださったお礼に、今晩の宿代は無料でいいですよ!」


「え、無料でいいんですかにゃ?

 そんな、悪いですにゃ……」


 ルナは恐縮した様子で頭を下げる。


「気にしないで!あなたはシアの命の恩人だもの。

 宿代くらいサービスさせて。

 あと、夕飯も食べていってちょうだい!」


「い、いえ、それはさすがに……」


 コメント欄にも「やったあ飯タダ!」「ルナちゃん大勝利!」などの声が沸くが、ルナは躊躇する。


「みにゃさん、食事まで無料はちょっと申し訳ないですよねにゃ……

 私、お礼はしたいんですにゃ。」


 ルナはあわててカバンを探るが、手持ちの通貨がない。

 思わず困った顔になる。


「……手元にお金がないですにゃ。

 魔石を売ればいいのかにゃ……?」


にゃん民: あ、そういえばスペチャあるよね?

にゃん民: スペチャで引き出しとかできるのかな?


「スペチャ……

 そういえば配信画面に『引き出し』みたいなアイコンがあるですにゃ!」


 ルナは試しにVTubeスタジオのUIをいじると、「換金」ボタンらしきものを発見。

 押してみると、次の瞬間、手元にこの世界の通貨「ゴルド」が出現する。


「出た……!これがゴルドですかにゃ!?」


 驚くルナに、コメント欄も大興奮。


にゃん民: スペチャ換金キタwww

にゃん民: 3割取られたりしないの!?

にゃん民: リスナーが出資してるようなものか?


「おばさん、このゴルドで食事代を払いますにゃ!」


「まあ、すごいわね。どこからそんな……

 でも助けてもらったんだし、そんなに気を使わなくても」


「いえ、シアちゃんのお母さんが大変な時にわるいですにゃ。

せめて食事代だけでもお支払いさせてください!」


 感動的な言葉に、コメント欄は拍手喝采。


にゃん民: いい子すぎる!

にゃん民: 美味い飯をゴルドで払うルナちゃん偉い

にゃん民: 我々の視聴が飯代になったw

にゃん民: よかった、我々のスペチャはホストに消えはしなかった(涙


 おばさんはにこりと笑い、しばらくすると温かなスープやパン、野菜たっぷりの料理がテーブルに運ばれてくる。


「これが異世界飯……みにゃさん、本当にありがとうございますにゃ。

 これ、めちゃくちゃ美味しいですにゃー!」


 ルナは感動しながら頬張り、コメント欄も「うまそー」「飯テロ!」「本当に食べてる?」と盛り上がる。


 こうしてルナは、にゃん民たちの力で手に入れたゴルドを使い、異世界の宿屋で温かい食事を楽しむことができた。


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