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12-2 邪竜降臨

 膨張を続けるフジワラ――いや、もはやフジワラだったものは、その巨大化した肉体で謁見室の壁を破壊し始めた。


 石造りの壁が次々に砕け、崩落の音が響く。まるで城全体を飲み込むかのような圧倒的な力だ。


「まずいわ……このままじゃ城が崩壊する!」


 ニニギが鋭い声をあげ、ルナとシャムも一瞬顔を見合わせる。


 彼らは慌てて乗ってきた幻獣へと飛び乗った。


「急いで脱出しますにゃ!」


 ルナがユニコーンを指揮し、シャムはバイコーンに身体をあずけ、ニニギはトライコーンを駆る。

 一足先に砕け散る天井から降り注ぐ瓦礫を避けながら、三人は一気に城から離脱する。


 後ろを振り向くと、廊下や壁が一瞬で崩れ去り、建物全体が音を立てて崩壊していった。

 凄まじい爆音と粉塵が舞い上がり、その中心にある謁見室の跡地が、じわじわと崩落の渦へと巻き込まれていく。


「フジワラ……人を辞めるなんて……!」


 ニニギが息を詰め、シャムも表情をこわばらせながら見つめている。

 そこには、見る間に膨張を極めていく闇があった。


 やがて、一際大きな轟音が響き渡った。

 瓦礫の山を突き破るようにして現れたのは、漆黒の鱗に覆われた、見上げるほどの巨大なドラゴン。


「ドラゴン……!?」


 シャムが息を呑む。マグマのような赤銅色の光が、ドラゴンの鱗の隙間からチラチラと漏れ出ている。

 その姿は、まさしく邪竜と呼ぶにふさわしい異形だった。


「……これがフジワラさんの、魔王の最終形態……?」


 ルナがごくりと唾をのむ。

 もはや人型の要素はどこにもなく、完全に巨大な化け物と化していた。


 崩壊する城の残骸を踏みしめ、漆黒のドラゴンはゆっくりと首を持ち上げ、空へ向けて咆哮を響かせる。

 その咆哮は地を震わせ、大気を揺らすほどの威圧感を伴っていた。


「……最後の戦い、正念場ね!」


 ニニギが呟き、拳を握りしめる。

 空には濃い灰色の雲が垂れ込め、周囲には剣呑な風が吹き荒れる。


 フジワラはもはや理性を失い、ひたすら破壊衝動に従うだけの怪物へと成り果てた――

 魔王城の完全なる崩壊とともに、最終決戦の幕が、今まさに上がろうとしていた。


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