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虚弱な正義

作者: 燎 詩

晩夏の弱い灯火が蚊を弱らせる。畳の上に広がる匂いに酔いながら網戸越しの風に問う。

「私はただ普通に飯が食えて風呂に毎日入れる日常に、水草と金魚を眺める時間があれば至極の幸福を味わえるのに、なぜこうも身体を粉にしてまで稼がないと生活が出来ない世の中に生きるのだろうか。」

風は答えた。

「知らん。」

ごもっともです。私が今まで聞いた答えの中で最高の答えです。人生そんなものだと思った。

理由も分からず走らされた小学生の時から何も変わっていない。理由も分からず稼いで理由も分からず努力だとか頑張るだとか、そんな日常に疲れている。いやきっと、社会に憑かれているな。

なんて。

ならばいっそ、祓ってしまおう。私は自分の人生だけでも精一杯で社会を背負うなんて無理。今日も明日も昨日の自分を演じなくたっていい。


今も蚊を弱らせるくらいに正義感もないのだから。

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