吸血女
「てことがあったんだ」
イスカにそれを話すと高校の制服の説明から高校を特定してもらい次の日に向かうことにした。
「ここか」
県内では有名なお嬢様高校らしい。
門を飛び越えて侵入する。
今は授業中らしく静まり返っている。
校内に入り周りを注意深く散策する。
教室を覗こうにもバレたらまずいので覗けない。
窓から外を見ると木の下で本を読んでいる少女がいる。
少女はソウジに気付いたらしく警戒している。
窓を開けて向かう。
「何をしてるの?」
「何って授業をサボっているだけですけど、で言うか貴方はこの学校の教員でもないですよね誰なんですか?」
「あーごめん俺の名前は西風ソウジ。君は?」
「天童スミカです」
「ちょっとここの生徒にようがあってね金髪で赤目の小柄な女の子なんだけど知らない?」
「あーわたしと同じクラスの青坂アスミでしょうか?」
「知っているの?」
「はい、でもあの子ちょっと怖いです」
「怖い?」
「はい、何考えてるかわからなくて。でも何故かみんなから人気があって。おかしいんですみんなの様子がアスミの言うこと何でも聞いて、しかもアスミと仲が良い子は突然学校に来なくなったりして...」
「なるほど」
「でも、今教室に行くと不審者扱いで警察呼ばれますよ夕方になったら門の前で立っておけば会えると思います」
「いや。今すぐ会いたいんだ」
「もうすぐ昼放課の時間なんでアスミは屋上でいつもご飯を食べていますから屋上に行けば会えますよ」
「ありがとう、あ。俺がここに侵入したこと他の人には絶対に言わないでね」
校内に入り階段を上がり屋上につく。
貯水タンクの上に座りアスミが来るのを待つ。
しばらく待つと扉が開かれる。
(来た...)
「今日も良い天気ですわねー」
「そうですわねアスミ様」
(お嬢様口調...ガチであるんだな..)
アスミ一人ではなく数人で屋上に来た。更に生徒達が五人十人と来て屋上に活気が湧き始める。
アスミが友人達とご飯を食べている豪華なものばかりだ。
「喉が渇いてきたわカヲルちゃん近づいてきて...」
「はい...」
アスミがカヲルと言う女の子の首に噛み付く。
「やはりか!!!」
立ち上がり貯水タンクから飛び降りる。
「なにかしらあの男性」
「結構...タイプかも」
「男なんて汚らわしい」
ひそひそと周りの生徒が何かを話している。
「あらあら、昨日の...」
「アスミ、血を飲もうとしていたな」
「そうよ」
「...!」
アスミが指を鳴らすと周りの生徒が倒れ灰になって消える。
「何をした?!」
「武器生成のために利用しただけよ」
アスミの手には赤い剣が握られていた。
「死んでもらうわ」
斬撃を躱しソウジは姿を変える。
「貴方は知ってるだろうけどわたしは人間じゃない吸血鬼よガルバスによって改造された貴方と同じよ」
「ガルバスがお前を作ったのか?」
「そうよ」
アスミが迫ってくる。
ソウジは一定の距離をとる。
アスミが剣を振るうソウジは刃を受け止める。
「まずい、押されてしまう」
「諦めなさい貴方じゃわたしには勝てない」
「くそ!」
アスミのお腹を蹴飛ばしソウジは宙を舞いキックを放つ体勢に入る。
その瞬間、横から衝撃がしてソウジは吹き飛ぶ。
金網に体を叩きつけられる。
「なんだ?」
「キキー!」
「よくやったわねクロエ」
(コウモリ男に似ているが女性っぽいしかも人間の名前まさか俺と同じ変身能力を...)
「貴女は援護をして」
「わかりましたお嬢様」
ソウジは斬撃を躱すが後ろからコウモリ女に羽交い締めにされる。
アスミが剣を構える。
「まずい!!」
コウモリ女を蹴り飛ばし羽交い締めから解放される。
「ブラックソード!!」
自然と叫んだ言葉と同時にソウジの腕には真っ黒な剣が握られていた。
斬撃を剣で防ぐ。
「なっ!」
無我夢中でソウジは剣を振るう。
どちらも素人だが振る速度が速いソウジの方が優勢である。
しかしコウモリ女に体当たりをされ吹き飛ばされる扉を破壊し屋上に繋がる階段の踊り場に倒れた。
コウモリ女が倒れたソウジのお腹に足を乗せて苦しませる。
コウモリ女が変身を解除しメイド服を着た女の姿に戻る。
「クロエよくやったわ」
「うぅ...」
ソウジは目の前にいるクロエとアスミを倒そうと起き上がろうとするが体が重く立てない。
「お嬢様、どうするつもりですか?」
「今、殺しても面白くないわよね...」
「もう少しだけ生かせてあげましょうか」
「しかしお嬢様この男は...」
「ライバルとしておくわよ」
その時、天井から笑い声が聞こえてくる。
「まさか脱走者が三人もいたとは」
「ドグマスとメイデア!!」
クロエが慌てて姿をコウモリ女に変える
ドグマスが手を突き出すとクロエは屋上に吹き飛び金網にぶつかる。
「クロエ!!」
「吸血女、死んでもらう」
「お嬢様!!」
クロエが駆けつけてドグマスを壁に叩きつけようとするが払い除けられる。
「このまま殺しても面白くない...ドグマス良い提案がある」
メイデアがドグマスに耳打ちする。
「悪趣味だな」
気づけば三人は薄暗い空間にいた。
霧が視界を不安定にさせる。
「貴様達、脱走者は今から処刑される事になった」
「ライオン男、でろ」
「ガルル!!!」
ライオン男が霧の向こうから現れる。
「お嬢様...奴は危険です」
「わかっているわ」
剣を構える。
しかし、構えた先にライオン男はいない。
「どこ?」
「お嬢様!後ろ!」
吹き飛ばされて壁にぶつかる。
「お嬢様ァァァァァ!」
「クロエ時間稼ぎしといて!!良い案があるの!」
ライオン男と戦っているクロエを尻目にアスミはソウジのもとへ向かう。
既に変身が解除されておりアスミには好都合だった。
アスミは自分の腕を切りつけ血を出す。
その血を口に含みソウジに口移しをして飲ませる。
「ハッ...お嬢様!先程キスを!」
ソウジが目を覚ます。
「ここは?」
「休戦よ奴を倒すために協力して」
ライオン男がクロエと戦っているのを見る。
「わかった」
ソウジは姿を変える。
ライオン男に向かって走り、背中にパンチをする。
ライオン男が怯んだ隙にアスミが剣を突き刺す。
ライオン男は灰になって消えた。
気づけば階段の踊り場におりソウジはアスミと向かい合う。
「これからも、生徒達の血を吸って生きていくのか?」
「そうね、わたしを殺さないの?」
「俺を助けてくれた事には変わらないし」
「甘いわね、貴方を利用しただけよ」
「今はとりあえず休戦だからお前がやる事に干渉はしない」
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「お嬢様、殺さなくてよかったのですか?」
「わかんないわよ」
「ならばわたしが」
「いいって」
「しかし」
「はじめてかも...男性の前でこんなにドキドキしたの」
「あ、あ、ああ、お嬢様まさか...」
「ん?」
「恋をしてなさる!?」
「ち、ちがうわよ、ただ同じ怪物どうしたがらかも...」
夕陽を背に帰る二人。