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伊勢神トンネルの怪

作者: 大石

※この話はノンフィクションです。



皆さんは愛知県にある伊勢神トンネルというトンネルをご存知だろうか。

「トンネル系心霊スポットで最強はどこか」との質問に、多くの心霊スポットファンは口を揃えてこの伊勢神トンネルの名を挙げるであろう。




TV番組である奇跡体験アンビリーバボーでも特集されるほどのスポットだ。番組スタッフと霊能者がトンネル怪異の謎を解き明かそうと現地に訪れた際、霊能者の霊視では母子の霊がいるとのことだった。

その他にも霊は沢山居るとのことだが、特にその母子の霊が強力とのことだ。


しかもこの時霊能者は3人いたのだが、全員口を揃えて「念が強すぎて除霊ができない。怖い。危ない」という3人がかりでも歯が立たない程強力な霊らしい。



伊勢神トンネルは「新伊勢神トンネル」「旧伊勢神トンネル」「旧々伊勢神トンネル」の3つがあり、最も心霊現象が多発するのが「旧伊勢神トンネル」だ。

前述した3人の霊能者が白旗を挙げたトンネル。


ここでの心霊体験談は数知れずだ。 


1.車で通り抜けようとするとトンネルの中でカーステレオが止まる

2.和服を着た霊が現れ、車に乗せてと頼んでくる

3.若者が変死体で見つかる(幽霊の仕業かは不明だが)

4.車から降りてトンネル探索をしたあと戻ると車が手形だらけになっている

…などなど挙げればいとまがない。



そんな伊勢神トンネルだが、知人にも行ったことがある人間がいるので、今回はその際の体験談を書こうと思う。



その前になぜこの伊勢神トンネル、こんなにも幽霊が出現するのかという疑問だ。



それは1959年のこと。台風15号

が伊勢湾を直撃したことから始まる。通称伊勢湾台風。9月26日に潮岬に上陸し、全国に影響をもたらした台風だ。

伊勢湾沿岸の愛知県と三重県で特に被害が大きかったことからこの名称が付けられた。死者・行方不明者の数は5,000人以上。

明治以降の台風で最も悲惨な被害量であった。


その際土砂崩れに巻き込まれて犠牲になった子ども2人の遺体が、伊勢神トンネル付近に流れ着いた。

遺体が発見された場所には、供養のための地蔵が建てられている。

しかし子供の遺体は見つかったのに対して母親の遺体は見つからなかったそうだ。


先ほど和服を着た女が車に乗せてくださいなと頼んでくるという目撃証言を書いたが、その女は伊勢湾台風の土砂崩れに流されて行方不明になった母親によく似ているということだった。




さて前述した知人の話をしよう。

この先知人のことはAと表記する。


Aは現在北海道に居るのだが、30年ほど前はトヨタ自動車の製造会社に勤めていた。

30年前頃といえばバブルが終わりたての時期。相当前だが、その頃から伊勢神トンネルで起こる怪異は知れ渡っていた。


知人はその頃20代で、好奇心旺盛な時期だ。

今でこそ半信半疑だが、昔は幽霊の類など全く信じていなかったそうだ。


当時テレビでよく取り上げられていた心霊スポットであり、場所も近かったため、仕事仲間と深夜、遊びに行こうということになった。

ワンボックスカーの中に5〜6人が乗ってワイワイはしゃぎながら向かった。




いざ旧伊勢神トンネルに着くと、トンネル内は天井にライトも無く、いくら幽霊の類を信じていないAといえど不気味に感じるほどの異様な雰囲気だった。


まず試しに車でトンネル内を通り抜けてみた。

「なんだ、やっぱなんもでねーじゃんか!」

特に何も起こらなかったので今度は車から降りてトンネル内を探索することになった。


トンネルの真ん中あたりで探索していたが、相変わらず天井の照明が無いゆえの不気味さがトンネル内に充満するだけで、特に何か起きるわけでも無かった。

「つまんねー!もう帰るか?」


全員飽きて帰ろうとしたその時



「ゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔあ」



ドスのきいた声のようなものが聞こえてきた。

先ほどまでの盛り上がりは一瞬で消え、しばらく皆黙り込んだ。


そしてそれぞれ目を合わせあった。


次の瞬間



「わあああああああ!!!!!」

仲間内のひとりが悲鳴を上げて車に向かい走り出した。

それを皮切りに次々と連鎖反応を起こし、皆同じく続いた。


この時Aはスタートダッシュが遅れており、最後尾を走っていた。

だがいくらスタートダッシュが遅れていたとはいえ、いつもは足の遅い連中がその時は恐ろしいほど速かったという。火事場のクソ力というやつだろう。


Aがワンボックスカーに着くか着かないかでもう運転手はエンジンをかけ、そのままロケットスタートしようとしている。もう皆パニック状態だ。

なんとか乗り込み、トヨタの寮に帰ったが、その後は特になにか寮で起こったという話はないようだ。


トンネルの音だが…本人の証言だと

獣の咆哮とも人の唸り声ともつかない音だったと。そしてそれを『認識できた』とのこと。


トンネル内に『響いた』のではなく、『頭に直接届いた』ということらしい。(A本人の証言)



これがもし仮にスピーカーなどを使ったイタズラだとしたら、トンネル中に響くだろうが、響かなかった。


ということは生きた人間ができる所業ではない。 



この伊勢神トンネル、新の方はかなり車通りも多い上心霊証言もないので安心して通っても良いが、旧伊勢神トンネルはオススメしない。

心霊現象も多発する上そばに民家も1軒あるので、色々な意味で近づかないようにしてほしい。



スポットに行ってなにかあっても作者は責任を一切持ちません

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