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実朝の呪い歌

作者: らんた

 『時により すぐれば民の嘆きなり 八大龍王雨やめたまへ』


 自分の血を墨に混ぜて和歌を創作する実朝。


 「そうです。それでいいのです」


 「表向きは洪水を止めてくれという和歌にしか見えぬ。しかし、真意は……」


 「そう、行き過ぎた武家社会を止めろという呪い歌になりまする」


 『文弱の貴公子』とは表の顔。裏では呪詛を使い北条を呪っていたのだ。現に病で死ぬものが多くなった。呪いが効いたのだ。特に自分を裏で操る八人には死んでもらおう。


 実朝は箱を開け、箱の中にあった贓物を墨に混ぜて和歌を創作する……。腐肉が飛び散る音が心地よい。実朝は凄惨な笑みを浮かべながら書き上げた。


『山はさけ 海はあせなむ世なりとも 君にふた心わがあらめやも』


それを聞いた影は思わず啜り嗤った。


「そうですか。世を公家社会に戻すと……おっしゃるのですね」


「暗殺と報復。この闇の世を消し、光あふれる公家社会に戻しましょうぞ」


「この北条のもののふを使った血肉の呪詛はさぞかし効くことでしょう」


『世の中はつねにもがもななぎさこぐあまの小舟の綱手かなしも』


「それは時戻しの呪文」


「そう、もう我は暗殺に次ぐ暗殺はうんざりだ」


この光景を闇から見ていたものが居た。闇は公暁へと姿を変えた。


◇◆◇◆


まもなく、死神がやって来た。死神は公暁へと姿を変えた。今度は実朝が生贄になる番であった。


この事実が判明したのは鎌倉市の再開発工事で発見された木簡である。そこにすべての所業が記されていた。

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