表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おしゃまさん! 【WEB】

作者: 雨澤 穀稼


   おしゃまさん!


 とぼとぼとぼとぼ……。

 ふ〜っ……今日も疲れただべぇ〜……。

 (うつむ)(うつむ)き、とぼとぼとぼとぼ、とぼとぼと……。

 あっ! おしゃまさんだ!

 綺麗に手入れされた毛並み、頭に小さな赤いリボンを付けた小型のコリ〜犬……だと思う(わたし主観!)。

 わたしは密かに彼女を、おしゃまさんと呼んでいるのだな。

 はいな! はいな!

 おしゃまさんは気高く気品を漂わせ、優雅にその肢体をサラサラサラサラ見せ付ける。

 手入れ尽くされた完璧な毛並みを、サラサラサラサラツンとした表情で、貴賓高く気高く優雅な散歩風景なのだな。

 彼女はわたしの視線を感じても、素知らぬそぶり。

 チラリと視線をくれるものの、決して振り向いてはくれない。

 わたしの視線を感じても、フン! てなもの(なん)でりますよ。

 はいな! はいな!

 おしゃまさんは気高く、つんとした表情。

 決して短な足を、バタつかせたりはしない。

 優雅に優雅に

歩くのだな。

 おしゃまさんが疲れた時は、唐突に立ち止まり、ふわり気品だがく横たわり、飼い主様はその様子を沈黙し。

 おしゃまさんのお気に召す迄、お付きの者の様に静かに立ち上がるのをま待っている。

 なんとなんとな、お姫様待遇。

 わたしの視線に、チラリ……ふぁさりと立ち上がり……てふてふてふてふとお尻をふりふり、おしゃまさんはプイっと角を曲がり優雅な貴賓高い香りを残して去ってゆくのだな。

 おしゃまさん、あなたは一体何者なの……?

 さあ、わたしも家路に着くことにしよう。

 てくてくてくてく、てくてくてくてく……。

 ミ〜ンと、やっと蝉が鳴き始めた、午後の帰り路。

 では、また明日! おしゃまさん!

 てくてくてくてく……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ