おしゃまさん! 【WEB】
おしゃまさん!
とぼとぼとぼとぼ……。
ふ〜っ……今日も疲れただべぇ〜……。
俯き俯き、とぼとぼとぼとぼ、とぼとぼと……。
あっ! おしゃまさんだ!
綺麗に手入れされた毛並み、頭に小さな赤いリボンを付けた小型のコリ〜犬……だと思う(わたし主観!)。
わたしは密かに彼女を、おしゃまさんと呼んでいるのだな。
はいな! はいな!
おしゃまさんは気高く気品を漂わせ、優雅にその肢体をサラサラサラサラ見せ付ける。
手入れ尽くされた完璧な毛並みを、サラサラサラサラツンとした表情で、貴賓高く気高く優雅な散歩風景なのだな。
彼女はわたしの視線を感じても、素知らぬそぶり。
チラリと視線をくれるものの、決して振り向いてはくれない。
わたしの視線を感じても、フン! てなもの何でりますよ。
はいな! はいな!
おしゃまさんは気高く、つんとした表情。
決して短な足を、バタつかせたりはしない。
優雅に優雅に
歩くのだな。
おしゃまさんが疲れた時は、唐突に立ち止まり、ふわり気品だがく横たわり、飼い主様はその様子を沈黙し。
おしゃまさんのお気に召す迄、お付きの者の様に静かに立ち上がるのをま待っている。
なんとなんとな、お姫様待遇。
わたしの視線に、チラリ……ふぁさりと立ち上がり……てふてふてふてふとお尻をふりふり、おしゃまさんはプイっと角を曲がり優雅な貴賓高い香りを残して去ってゆくのだな。
おしゃまさん、あなたは一体何者なの……?
さあ、わたしも家路に着くことにしよう。
てくてくてくてく、てくてくてくてく……。
ミ〜ンと、やっと蝉が鳴き始めた、午後の帰り路。
では、また明日! おしゃまさん!
てくてくてくてく……。