掴めるVS掴めない・運命は動き出した
うわあああ!!ルームサービスうぅぅぅぅうぅうぅううぅぅぅう!!!ブクマと評価ポイント持ってきてえぇぇえええぇええええ!!!!
はい
●いいえ
じゃあなにしに来たの・・・!?
「大丈夫?」
今起きた出来事に頭の処理が追い付かなくて放心状態だった私に金髪の子が心配して声を掛けてきた。年齢は私とそう変わらないように見える。ニエ・・・にしては綺麗な緑の服を着ている。
壁の崩壊に関わった外から来た人なんだと思う。恐らくあの空色のキモイ男の仲間。今は本当に心配してくれてるけど、信用はしない方がいいかもしれない。
「あ、うん平気――」
適当に返事をすると金髪の子は私の周りのグルグル回り全身をジロジロ見ている。
「な、何?」
「怪我は・・・ない、ね!私レン、よろしくね」
どうやら怪我をしてないか見てくれたらしい。怪我がないと分かると彼女は二パっと明るく笑って手を出してきた。握手しろということらしいが手を取る気にはなれない。だって、怪我ないって分かった途端に彼女の心に敵意が生まれたから。ただ笑顔で手を出されて手を取らないのは流石にどうかとも思う。恐る恐る手を出して相手の手を握った。
「私エフィー、心配してくれてありがとう。戦ってたのはレンだし・・・大丈夫?」
「大丈夫よ!ところでエフィー・・・?」
レンが握手らしからぬ力を込めて握りしめてくる、ほら来た、だからイヤだったんだよ。私何もしてないじゃん。なんでキレてんの?
「ちょっと、痛いんだけど・・・」
「エフィーさ、チャルに色目使ってなかった?」
「え?いやあの空色??色目なんて使ってないけど」
キモイし。
「ふーん・・・言っとくけどチャルに色仕掛けとか効かないから!!」
「いや使ってないって言ってんじゃん!!アンタその耳飾りか!?」
「うるせぇ!!牛みたいな乳しくさってからにコノ牝牛がッ!!」
レンが私の胸を鷲掴んで思いっきり引っ張って来た。怒りの原因コレェ!?逆恨みもいいところじゃん!!知らねーよ!ド貧乳に生まれた自分を恨めよ!!
「いだだだ!!!千切れる!千切れる!!」
「千切れろ千切れろ千切れろ千切れろ千切れろォ!!」
「ぎひぃぃ!!このッ!!」
同じことやり返してやろうとレンの胸に手を伸ばしたが掴める部分が無くて何度掴もうとしても虚しく空を掴むだけに終わった。
「クッソ掴めないッ!!」
「んだとゴルァァアァアァ!!?」
「痛いって!!離してよッ!!」
胸は無理だ、無いもん。仕方ないから全力で頬を抓って引っ張ってやった。ルドより若干頬の伸びが弱い。
「離ふぇ!牝牛ぃぃ!!」
「そっちが離して!!」
「何してんだお前ら一旦離れろって!」
ローグが私達の間に割り込んでレンを押して引き離してくれた。
「あい!?何ナニどうなってんの!?」
レンが戸惑っている、まあ見えない存在に押されたら誰でもそんな反応するだろう。
「あ、チャルから連絡が・・・」
レンが何もない空中にポンッと辞書のような本を召喚した。フワフワ浮いているからあからさまに普通の本ではない。
『レン、そこにソウルアローンが居る』
本から声が聞こえる、チャルと呼ばれてる空色の声。
「もしかして見えないの?」
『そ、ほっといてこっち来い』
「わかった」
あの辞書っぽい本は通話機能付きらしい、あのチャルとかいう空色はさっき私たちに声を掛けてたようだ、見えている。私以外にも。ローグの顏に意味が分からないと書いてあると言っても差し支えないほどわかりやすく動揺している。
でもそんなことよりも本の向こうに音痴さんがいるかもしれない。閉じようとしている本に向かって私は目いっぱい声を張り上げた。
「まって!音痴さん居る!?」
『は?音痴?俺スゲー歌うまいんだぞ、聞くか?お?自慢の美声炸裂させっか???』
「お前じゃない!!」
『なんだよノリ悪ぃな、アイツなら見失っちまったよ』
「・・・そう」
「顏に傷あるアイツ、知り合いなの?」
居ないと分かり肩を落とすとレンが会話に割り込んで来た、いや元々はレン宛ての連絡だから割り込んでいるのは私のほうなんだけど。
「そうだけど関係ないでしょ」
「関係ないけどさ・・・その感じだと大事な人なんでしょ?見かけたら顔合わせろって説教しといてあげる」
「え・・・なんで?」
「だって大切な人とは一緒に居たいもんでしょ?じゃあね!クソ牝牛死ね!!ぺッぺッ!!」
レンは本を閉じて去り際に唾をこっちに向かって飛ばして走り去っていった。
「最後の一言で台無しじゃん!お前が死ねよ!!」
彼女の感情は怒り・嫉妬・共感・同情とかいろいろ見たことないくらいゴチャゴチャになっててほんの少し面白かった。・・・いややっぱムカつきのがデカい。
「・・・なんか劇的に情報多すぎて頭の処理追い付かねーんだけど」
「私もわからないことだらけ・・・でも」
確かにローグの言う通り劇的だ、ローグとの出会いからとめどなく新しい人と出会い始めている。
12年間止まっていた私の中の時計が動こうとしているような――
そんな予感めいた物を感じていた。
~・~・~・~・~・~・~・~
~同日夕刻 白竜城・会議室 ~
緊急招集され千式議会というこの国のトップ達が会議室の椅子に座って退屈そうにしている。ま、儂とルドは呼ばれとらんから勝手に来ただけだが。
千式議会はその名の通り1000人で構成されている普通の国で言う議員みたいなものだ。全員が軍人上がり、というか現役の軍人だ。好戦的な人物が多い。流石にこの会議室に1000人も入らないから特に権限の強い10人しか呼ばれていないのだが。
「ンッフフフ・・・余計なのが二人ほどいるが、いいだろう、始めようではないか」
王とその子を『余計なの』か。所詮、戴剣式で民衆を沸かせるためだけのお飾りの王だと分かってはいるが・・・本当にいちいち人の神経を逆なでするのが得意な奴だ。
メビストがデフォニングに視線を送ると椅子に座ったまま報告を始めた。
「まず大型の鳥魔族が壁へ向かってきたから迎撃した、その隙に別の何者かが侵入してきている。これが侵入者の顏だ」
会議室の前面のモニターに監視カメラの映像が映し出される。侵入者は空色のツンツン頭と金髪で白い翼の生えた少女。それと大型の鳥の魔族。
「フム、鳥と奴らはグルなのかね?」
「いや、争っていた。敵対していたな」
「では壁が一部崩壊した件については?」
「俺がやった、女と鳥を上から叩き落した時に崩落した、しかしその金髪の女も鳥も死ななかったな」
「それよりも何故貴様が壁に居たのだ?貴様が居ると分かっていれば兵士の招集もミサイルも要らなかっただろう」
「・・・気まぐれだ、意味などない」
「ククク、まあよい。そのうち気まぐれも起こさなくなるだろう?なあ同志よ」
「寝ぼけたことを、元々俺は貴様らと同じだ」
ルドが歯を食い縛りギリギリと歯軋りさせてボソリと「裏切者・・・」と呟いた。ルドの肩に手を置き落ち着くように諭す。
デフォニングは元々はこちら側だった。そう聞かせていたからルドがそう思うのも無理はない。しかし、アレはデフォニングではない。今や全く別の存在だ、魔族。人間から魔族になった、デフォニングからの報告で兵士は殆ど人型の魔族だと判明している。報告された時は半信半疑だったがデフォニングの変貌を見て確信に変わった。人型の魔族ではなく、魔族にされた人間が残忍な兵士の正体だ。
そしてそれの糸を引くのはやはりメビストだろう。何かしらの研究をしているのはわかっている。肝心の内容がわからないが。
エフィーを守るために負った顏の傷を名誉の負傷だと笑った彼はどこに消えてしまったのだろうか。
メビストが儂等の顏を鋭い目眼光でチラリと見てくるといつもの癪に障る独特な笑い方をする。知ったところでもう遅いとでも言いたいのだろう。
「ンッフフフ、彼らの他の情報もあるか?」
「名前程度なら。空色の人物はカルマと名乗っていた、女からはチャルと呼ばれていたが。大剣を使う。女の方は間違いなく魔族だ、地属性とおそらく風属性。レンと呼ばれていたな、細身の長剣を扱う」
「なれば殿方の方も魔族と見て間違いなさそうであるな」
「おそらく」
「ンッフフフ、この女、お前たちならわかるだろう?」
議会の面々が黙って頷いている。
「父さん、何のことかわかる?」
「・・・あの女も元人間ということか?」
「それじゃあ、僕たちの敵ってことだね」
「わからんがそう思っていた方がいい。気を引き締めねばならんことに変わりないだろうな」
それだけは間違いない、彼女の危険性は分からないがなんとか千式議会より先にコンタクトをとれないだろうか。
「彼女は我々の仲間だ、ぜひ生け捕りにして話を聞きたい」
「仲間?どういうことだ」
ルドが険しい顔でメビストの発言に噛みつく。
「彼女もまた特別ということだよ、まあそれ以上にカルマと名乗っている彼の方が特別なのだがね」
「では男の方も生け捕りということか?」
「彼は放っておいていい、運命が動き出したのだ。ンッフフフ・・・」
不快な笑い声が会議室を包む。この先何が起きるのか分からない、それに敵は我々の力を遥かに超えている。果して対抗のしようがあるのか?と疑念が暗い雲になり我々の行き先を閉ざしてしまうように思えた・・・
人物紹介 ルミア・エア・ペンナ
22歳 女性
黒いバンダナと紫のシンプルなドレスを着ている。
ソバカス顔が特徴。髪はピンクのおさげだがカツラでありハゲ。
3年前爆発で記憶とも頭髪を失ったが記憶を取り戻した彼女はハゲ自体はそんなにきにしていない。
サイコパス気質があり血を見るのが好き。
ルシファー空賊団の副団長を名乗っている。
男にだらしない。ていうか性別を気にせず敵でなければ誘う。
この異常な欲は神器に二つ適応してに体がバグってしまったから。本当はパートナーとがいいのだが彼の体がもたないから仕方なく妥協している。パートナーは下手だし短いし早いがパートナー以外では絶対に満足できない。