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助けた理由・不可視の一撃

早速更新忘れるところだったわ。お前本当に30日連続投稿できるんか・・・?


足を引っかけてやった、森の中で魔族から逃げてた白い長髪の女。派手に転ばして蜘蛛型の魔族に喰われそうになったところを助けてやった。随分回りくどい事をするだろ?だって危機的な状態から助けた方が劇的で向こうが惚れやすいだろうしさ。


俺はローグ、ソウルアローンっていう魂だけの存在。魂ってのは魔力の塊で、時間と共に摩耗していく。肉体があれば飲食や呼吸とかで魔力を補充できるけど俺にはそれはできない。つまり、時が来れば消えゆく定め。


俺は、消えたくない。消えるのが怖い。誰だって自分が一番大切なんだ。消えるのが怖いのは当たり前だ。そして、消えないで済む方法があればそれに縋り付く。


魂には波長があって、指紋みたいに個々で違う。ただ指紋と違うのは生涯で何回か波長が変化すること、それの一つは恋に落ちた時。好きになった相手の波長にある程度同調する。


それが俺が肉体を得る方法、魂の波長が同調した相手を殺してその魂を奪うこと。奪った魂を核として相手の死体を己の肉体に再構築する、これが俺が消えない為の手段。


もう一つ、俺の姿が見えるのは俺が殺すと決めた一人だけ。ターゲットを切り替えれば元のターゲットには見えなくなる、常に俺をみることが出来るのは一人だけだ。その相手にも俺は心を開くことはない。だから、ソウルアローン、独りぼっちの魂。


女を転ばせてから、俺はこの女を殺すと決めて姿を見えるようにした。蜘蛛をぶっ飛ばした時には俺の姿が見えるようになった筈だ。直後に女の手を引いて走り出した。走る必要はない、ただの演出だ。だってこうした方が劇的だろ?


俺が縄張りにしてる月光樹の花畑に連れて行くと女は倒れた。死んじまったとビビったけど寝てるだけで安心した。余程疲れていたらしい。


日が昇ってから女が目を覚ました。エフィーって名前らしい、どうでもいいけど相手を惹くためにも

覚えておかないと。


せっかく笑顔作って「いい名前だな」って褒めてやったのに素っ気ない態度を取られた。警戒してるのはわかるが仮にも助けてやったってのに礼の一つも言わないのは流石にどうなんだ?


いい服を着ていても所詮コイツもただのニエ。クズってことだ、死んだところで誰も困りはしない犯罪者。俺が心を痛める必要もない、むしろゴミ掃除してやるんだから感謝されるべきまである。


ここを天国とか言った時にゃ笑わせて貰ったけど、ムカつく奴に変わりはない。ただ、帰り道はニヤけてたから全く好感がないわけじゃなさそうだ。時間を掛ければなんとか落とせるだろう。今まで一番うまくいってる。助けるの失敗したり助けても逃げられたり・・・やっと希望が見えてきた。

アイツからすれば絶望かもしれないが、どうせニエは長生きできないから別にいいだろ。


家まで送ると「ありがとう」だって。お礼言えたんだな、正直驚いた。

返事に妙な間が空いてしまった、そしたら


「・・・今コイツお礼言えるんだって思ったでしょ?」


まるで心を見透かされた感じがして正直ビビった。これ以上話すとボロが出てしまうような気がしてそそくさと逃げ帰った。


その途中、軍用車が通るのが見えた、石の回収だ。アイツは魔石なんて集めてない、助けた時には手ぶらだった。もっと恩を売るチャンス、そう思ったから逃げ帰るのをやめて引き返した。


家に入った兵士を痛めつけて銃剣を奪ってやった。銃を扱うのは初めてだな、弓は経験あるけど銃は銃で撃つのが楽しそうだ。弾丸も十分入ってる。


少しワクワクして来たぜ。アイツを殺す予行演習と行きますか!!


「こちらD地区残魂回収班!!至急援助求ム!」

『こちらルド、何があった?』


車に乗り込まないで上半身が助手席に乗り上げてる状態で会話する兵士。無防備に晒されている背中に上に掲げた銃剣を容赦なく振り下ろした。


「D地区エリア1820で!ぐあッ!!」

『おい?どうした!?おい!?』


噴き出した血が車と地面に飛び散って不規則で残酷な模様を描いた。その様子を見て走って逃げだした兵士の心臓を狙い銃剣の引き金を引き、ターンと銃剣が火を噴く音が響く。


見事に命中した、心臓ど真ん中!射撃には自信があるし当然当然。弓とは感覚全然違うけど。

あれだ、ビギナーズラックってやつだな。


「ハハハ!それにしてもいい気味だ!どうだ、狩られる側の気分はよ!!」


今、殺意は撃ち抜いた兵士に向けたから振り返れば俺の姿が見えただろうに。そしたら弾丸避けれたかもしれないのにな!あー、愉快だ!


「く、クソ!な、何がどうなってやがる・・・!?」

「一生悩んでろ!!もう一生終わるけどな!!」


最後に残したのはアイツに銃口を向けた兵士だ。まだ腰を抜かしているらしく、立ち上がれないようだ。無様過ぎて笑える。銃剣を牙のように上から下に振り下ろす。鋼の牙は兵士の腹部と地面を深く縫い留めた。


「うぎゃああぁぁあぁああああぁああああぁあ!!!」


断末魔と共にひとしきり手足をバタつかせるとやがて動かなかくなった。最後の瞬間、目が合った。唯一俺の姿を見た兵士だ、もう死んだけどな。


銃剣を突き立てたまま放置してアイツの居る家へ向かう。


逃がすつもりだったのに、その場のノリで殺してしまったが登場の仕方はエフィー目線なら劇的だった筈だ。殺意を持ったから一瞬だけ兵士に姿は見られたかもしれないが死んだのなら問題は無い。

運のいい事にアイツも布団を頭から被って震えてただけでこっちを見ていなかった、俺の姿が消えるところは見てないだろう。家に入る直前にアイツを殺すと決めてターゲットをアイツに戻した。またいきなり目の前で現れたらややこしくなってしまう。


アイツ俺の手を握って「ありがとう」だと。やり過ぎはしたが劇的救出作戦は無事成功したわけだ。


安心してから気が付いたがアイツ、声も手も震えてた。んで、その時に思ったんだけどアイツの手、温かい。なんで森で手を引いてる時はなんとも思わなかったんだろう。なんだよ、なんで泣くんだよ?泣くなよ。泣かれると・・・なんて言っていいのか、分からなくなっちゃうじゃんか・・・


半分パニックになった頭で必死に言葉を探した。頭の中から引っ張り出した言葉がどれも適切じゃない気がして、余計に言葉を失っていく。その内殺す相手だと繰り返し念じながら口を動かし、言葉をようやくひり出した。


「これからも俺が守るから」


俺が殺さないと意味がないから。それまでは守る、本当の気持ちだ。あくまで俺が殺すまでだが。


「・・・うん」


短い返事と共に手を離された。静かに俺を見つめる瞳はまたしても心を透かして見られてるように思えた。なんでそんな気がしたのかよくわからないけど、少なくとも俺に怯えているのは分かる。兵士に対してやり過ぎたのかもしれない。これから信頼を挽回していかないと。


「ごめん、怖かった?」

「少し・・・でも、ありがとう」


それからまた、お互いに言葉が無くなった。もっと気の利いたことを言えればいいのになんで無言の時間が生まれてしまうのだろう?どれだけ言葉を探してももうどこにも正しい言葉を見つけることはできなかった。ただ、アイツが泣き止むのを突っ立ったままずっと――


バン!


アイツが泣き止む前に外から音が聞こえた。聞き覚えのあるこの音は車の扉が閉まる音だ。直後にエンジン音が響き、俺は急いで外に飛び出すと車が走り去っていくのが見えた。見渡すと血痕はあるが肝心の兵士の姿が消えている。


導かれる答えは一つ、兵士たちは生きていたという事。兵士達はほぼ全員が庇い合うような性格ではない。死体の回収なんてするはずがないのだ。つまり3人とも生きていた事になる。


「ありえねぇ・・・!」


思わず口を突いて出た、心臓撃ち抜いたり腹に刃を突き立てたりした。生きているなんてありえない。


「私これからどうなるんだろう・・・?」

「大丈夫!俺がいるし、そもそもビビって近づいてこねぇって!!元々は逃がして化け物の噂流してもらう予定だったんだから!」


隣に座って肩を軽くポンポン叩いてなだめた。でも銃剣を突き立てた兵士に姿を見られたのはまずかったか・・・?いや、どうせ俺の姿を観れるのは常に一人だけ、問題なんて無い。無い!!


「ほら、俺に触ってればお前も透明になれんだから絶対大丈夫!!」

「・・・・・・・・・ほんとうに?」

「え?」

「本当に守ってくれる?」


また、まっすぐ俺を見てくる。「もちろん」と即答した。でも俺の返事を聞いたアイツの目は不信感に濁った感じがした。


「少し、一人にして」

「!・・・分かった」

「ごめんね・・・」


――思った以上に心臓がキュッとなった。付入るのに失敗することが怖いからだ。消えたくない、消えたくないんだ。所詮ニエだろうが、おとなしく利用されてろよ。


家から出て裏に回る、俺の声が聞こえないように充分家から離れてから「クソッ!」っと沸き立つ腹立たしさを地面を蹴り土ぼこりをあげる。そんなところに苛立ちをぶつけた所で全然スッキリしなかった。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


「見えてきた・・・!」


重たい銃剣を背負ったまま走ること約30分。正直へとへとだけど足を止めずに進む。兵士の様子はただ事ではなさそうだった。バテた状態で向かうのは流石に無鉄砲が過ぎる、まあここまで走って体力消耗している時点で充分に無鉄砲なのだけれど。


息を整えながら歩いて慎重に家に近づくと撃ち抜かれた扉と地面に広がる血痕が見えてきた。血痕の量は一人の人間の量じゃない、強力な魔族の襲撃があった可能性もある。


銃剣を構え慎重に周囲を見渡す。静寂だ。何も聞こえない、それがむしろ不安感を煽る。音を立てず、かつ手早く玄関付近に張り付く。


――緊張の一瞬だ。

警戒しながら大き過ぎず小さ過ぎない声量で「誰か居るか?」と家の中に呼びかけた。


住人であろうニエの遺体は外には無かった、血痕も家の前方のみで左右には血痕はない。家の裏で何かあった可能性は低いと見た。故に真っ先に家の中を確かめるべきだと判断に至った。

・・・返事は、ない。落ち着いて一呼吸してから、銃剣の引き金に指を掛けて勢いよく家の中に突入した。


「ごめんなさい!!撃たないでッ!!」


突入と同時に聞こえてきたのは怯えた女性の声。部屋の片隅、ベッドの上で涙を流しながら震えてる女の子がいた。白い髪の子、ぱっと見僕と同じぐらいの年齢のようだ。まさかニエの子が生きているとは。


片方の頬が僅かに腫れているようだけど、それ以外に傷らしきものは見当たらない。どこかの部位を庇うような仕草もないから骨なんかも大丈夫だと思う。安心した、生きててくれてよかった。

でも他の兵士が何かしら関与してるのは間違いないだろうから、一応確認しておかないと。


「大丈夫かい?」

「来ないで!!」

「あ、ああ、ごめん」


駆け寄ろうとしたら拒絶された。でも放っておくなんて選択肢はない、生きているのであれば助けないと。


「でも、落ち着いて。僕は何もしない。何があったのか教えてくれないかい?」

「!?・・・わかった」


なんでだろう?彼女は驚いた顔をして僕の顔を見た。いや、原因はなんとなく分かるな、僕意外の兵士は他人を気遣うようなことを言わないし、しない。彼女もひどい目にあわされてきた筈だから、僕の対応が異常だと思っているのだろう。頬の腫れだって兵士のせいだろう。あからさまに殴られた傷だ。


「危険があれば僕が排除する、安心して。魔族に襲われたの?」

「あ・・・」


女の子が僕の後ろを見ている?

そう思った瞬間、後頭部に殴られたような鈍い痛みが奔った。

人物紹介 ローグ

ソウルアローンの少年。魂の複合体で結合した魂の記憶を持っている。

肉体を得る手段を知っているのは本能のようなもの。

殺すと決めた相手にしか見えないず触れたものも透明にする。挙句に音も消してしまうのでステルス性能は群を抜いている。


劇的が口癖で自分の感情に素直で短気。

結合してる魂はニエが多い、ニエは犯罪者が多いのでそのせいかもしれない。

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