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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二十四章 小森の場合⑫
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第3話『失敗からの和食ディナー』①

お待たせ致しましたー


(……意外と揃っている)



 皐月(さつき)智也(ともや)か。


 どちらかが購入して、皐月は練習……智也はまったく出来ないわけではないと聞いているので、主に彼が食事を作っているのだろう。


 肉を使用したメインは作ったので、次は副菜に近いものを。


 道具もざっと見させてもらったら、意外なものが見つかった。



「……ガスバーナー?」



 しかも、使用したのかボンベがきちんと装着されていた。何に使っているのか純粋に気になったら。



「あ……それ。炙ったら、何でも美味しくなるとかで……自炊し始めた頃になんとなく、買ったんです」


「……で、火力強めてやり過ぎたとか?」


「……ご名答、です」



 智也ではなく、皐月だったとは。


 しかし、ガスバーナーの魅力はたしかに高いのでとやかく言うつもりはない。


 だから、せっかくなので正しい教え方をレクチャーしつつ、おそらく智也が買ってきた。



「このしめ鯖の切り身を……もっと美味しくしようか?」


「? それ、智也の晩酌用の」


「伊東さんも食べたくなる味わいになるよ?」


「じゃ、是非!」



 と言っても、する工程はさほど難しくはない。


 陶器の皿の裏……底でも、土の部分が素焼きになっている部分で……包丁の刃を軽く研ぐ。



「普通の砥石で研ぐ方が長持ちはするけど、数回くらいなら……即席で使えるよ? 手だけは注意して」



 そして……まずは手本として、しめ鯖を切ると……包丁特有の切れ味がぐんと増す気がした。



「おお。すっと切れていますね?」


「研ぐ角度は……まあ、大雑把でいいけど。刃こぼれしてる部分をさっと研ぐ感じかな?」


「……なるほど」



 切り終えたら、まな板の上ではなく……薄いバットがあったのでそれに移動させる。木製や市販のまな板の上では焦げて悪臭を放つだけでは、大変で済まない。


 だが、バットも焦げる場合はあるが……使用済みだったので、遠慮なく使わせてもらう。



「バーナーの火加減は強すぎないことかな? と言っても、自分の理想の焦げ目とか火の通り具合を考えると……強火にしたがるのは俺もわかるよ」


「……少しずつ、とは思っているんですけど。気づいたら」


「焦がし過ぎ……?」


「はい」



 裕司もネジを緩め、少し皐月に離れるように言ってから、点火させた。ガスコンロのように青い炎が、子供の指の長さまで伸びている。


 それをゆっくりしめ鯖に近づけて……表面は本当に少しずつ焦げる手前までじっと動かさず。横にずらしながら切り身全体の表面を炙っていく。



「俺が和食専攻だったら、寿司とか握れたけど……今日はあぶりしめ鯖で、メインの塩肉じゃがと一緒に呑もう」


「はー……これだけでも凄いのに、まだ学生さんだなんて思えないです」


「はは。いずれはなりたいけど……っと」



 じゃがいもの煮え具合が気になったので、バーナーを置いてから鍋の様子見。竹串ですっと通ったら……おかずは完成だ。


 あとは、簡単炊き込みご飯やサラダなどを……皐月にレクチャーしながら、裕司は一緒に作ることにした。

次回はまた明日〜

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