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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二十一章 眞島の場合⑪
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第3話『春のホテル縁日』①

お待たせ致しましたー

 縁日当日は……とにかく、若い人間よりも上司達の方が楽しんでいる印象を受けた。



「「ふはははは!!」」



 デジャブ、と言うのだろうか。去年の夏にスイカ割りをした休暇日の時以上に……バイトの(れい)達よりも、全力で遊んでいるのだ。キャプテンである紫藤(しどう)もだが、総支配人である都築(つづき)の方も。


 司会進行なども、特にやることがない半分プライベート空間となった宴会場の一室で……縁日風にとレンタル業社から借り受けた道具などで、射的やらスーパーボール掬いなどをめちゃくちゃ楽しんでいるのだ。



「……私ら以上に楽しんでいるねぇ?」


「デスね」


「……人が違うような」



 苺鈴(メイリン)以外にも、今年バイトとして入社した新一年生……佐藤(さとう)優樹菜(ゆきな)は、紫藤らを見て顔をぽかーんとさせていた。



「あはは。ゆきちゃんはキャプテンらのああ言う一面見るの初めてだもんね?」


「……キャプテンも、ですが。あの……本当に総支配人ですか??」


「去年もだけど……年に一回か二回はこうなるよー? あそこまではっちゃけるのは、都築さんの久しぶりに見るなあ」


「はあ……童心にかえるって言うんですかね?」


「やり過ぎ、デスけど」


(ワン)ちゃん言う〜」



 なかなかに、苺鈴(メイリン)も日本語が流暢になってきたため、意思疎通などが出来るようになった。今も、裕司(ゆうじ)が屋台のひとつで取り掛かっている焼きとうもろこしを美味しそうに頬張っている。



「……(ワン)さんが食べてると、美味しそうに見えます」


「美味しい、デス。コモリさんの料理、まかないでも美味しいデスよ」


小森(こもり)さん?」


「私の彼氏殿だよ! あっちで頑張って焼いている人」


「おお……」



 優樹菜はまだ裕司とそこまで面識がなかったのか、怜が屋台に指を向けると……もうもうと煙が立つ中で頑張っている裕司を見て感心してくれたようだ。


 ちなみに、料理や遊戯の代金については事前に参加者から一定の金額を募った以外は、紫藤らが会社側から予算を絞り取ったらしい。


 なので、料理は実質食べ放題。


 射的などの娯楽もやりたい放題なのである。


 怜もそろそろ焼きとうもろこしを食べに行こうと思ったのと、優樹菜を紹介したいので連れて行ってあげることにした。



「こもやーん」


「おお、いらっしゃい」



 換気扇はないので、換気ダクトに近い位置で焼いていても……炭火じゃないのに煙が凄い立っていた。



「新人ちゃん紹介するよ。佐藤優樹菜ちゃん」


「は、はじめまして……!」


「はじめまして、社員食堂の小森です」


「社員食堂の? ご飯、美味しいです!」


「俺も作るけど、今年四年だからあんまり来れないこともあるから」


「こもやんは料理人目指しているんだよ」


「すごい!」


「ま、そう言う学校に行っているから。ふたりとも、もろこしいる?」


「いるいる!」


「いただきます!!」



 醤油を塗って、香ばしい匂いに味わい。


 夏のにも負けない、甘くてぷちぷちした食感。


 ひと口食べると、次……次とかぶりついてしまう。私服参加なので、思い思いに飲み食い出来るのが良い。


 こんな贅沢なバイト先だなんて、きっと他にはないだろうから……怜は、就活をしつつもこのホテルでの正社員登用が始まらないか、こまめにチェックしているのだ。

次回はまた明日〜

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