第2話 就活の内容
お待たせ致しましたー
旬の食材はもちろんあるが……ビニールハウス栽培などで……品種改良された食材はわんさか存在している。
だから、春にもとうもろこしがなくはない。レトルトなどでのコーンポタージュが年中出回っているように。季節をあまり感じられない部分もあるが……お祭りであれば、なんだって嬉しい。
怜には……徐々に近づいている、三年生としてやらなくてはいけない『就活スタート』に向けて、がんじがらめになる前の息抜きになるのだから。
「う〜〜ん……会社説明会かあ?」
次年度卒業ではないので……まだまだ本格的に足を運ぶまでもない。しかし、エントリーシートと言う面倒な書類作成は早いうちにした方がいい。練習も兼ねて。
友人の皐月の彼氏……この度、新卒になり彼女と同棲をスタートした智也から、早いことも悪くないとアドバイスをもらったのだ。
「俺もなあ? 外食系列考えると……就活も少しした方がいいかも」
大学ではないが、四年制の専門学校に通っている裕司も……スマホだけでなく、パソコンを使いながら気になっているところをプリントアウトしていた。
「こもやんとこは……試験で採用があるかもだっけ?」
「うちの場合はね? 就活楽かもって……まあ頑張って入試は勉強したけど。卒業試験だけがゴールじゃないし……ホテルだけが居場所じゃないから、源さんには色々見てこいってずっと言われてる」
「……資格、取れるんだっけ?」
「俺のコースは、調理師メインで……あと一応製菓衛生師」
「えいせいし?」
「パンとか、パティシエには有利な資格。俺は調理師優先にしてたけど……去年から衛生師も取り始めた。就職しても、転職だってないと言い切れんし……強みあってもいいだろ?」
「おー……」
やはり、特技を仕事にしたい人間は違う。
怜は……なんとなくで、大学もバイトも決めた。バイトについては、本当に高額時給だと言う謳い文句と美味しいまかないが食べられるだけで……選んだ。
そこから、大事な相手が出来るとは思わなかったし……大学もだが、バイトも楽しい。
ただ、今は……人手が足りているのか、ホテル側の正規雇用制度がないのだ。それこそ、怜も同じホテル以外の場所に目を向けるきっかけなのか。
「俺はちょっと焦んなきゃだけど……怜やんはまだ少し時間がある。急いで決めるよりも……ゆっくり決めな?」
「……うん」
ぽんぽんと頭を撫でてくれる裕司の手が温かい。
たしかに……焦ってはいけない。
人生最終目標でもないし、合わなきゃ転職を考えるのもアリだ。
だけど。裕司の足を引っ張る存在にはなりたくはない。
裕司が就職してから……一緒に住めるとしても、裕司の横を歩ける存在になりたいのだから。
次回はまた明日〜




