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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二十一章 眞島の場合⑪
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第1話 今度の提案は

お待たせ致しましたー

 それは……バイトの仕事が始まる前に、上司の葛木(くずき)から言われたのだった。



「会場を使って……縁日ですか?」



 大学も三年生になった眞島(まとう)(れい)は、タイムカードを押した後に……葛木から詳細のチラシを渡されたのだ。



「そ。去年の夏にやったような、ホテルだけの夏休み的な? あれを春だけどやりたいって、総支配人が言い出したんだってさ」


「総支配人……」



 仕事をする時は、上品かつカッコよくきめている……役職通りのダンディな男性ではあるが。仕事でなければ、紫藤(しどう)くらいにお茶目な一面を見せる壮年でもある。去年の夏での提案自体も、紫藤と一緒に会社へ提案したとか何とか。



「ま。金魚掬いとか……生き物を扱うのは無理だけど。ほとんど飲み食いする場ね? でも、射的とか、輪投げとか……あと、紐くじとか?」


「……本格的に遊ぶんですか?」


「おはよーございマス」



 話し合っていると、徐々に正社員になりつつある中国ハーフの(ワン)苺鈴(メイリン)がやってきた。今日は夕方からのシフトだったのか、今来たようだ。



「おはよー、(ワン)ちゃん!! ねーねー、お祭りをここでやるんだって!」


「……おまつり、デスか?」


(ワン)ちゃん、日本の夏祭りとか行ったことある? ああ言うのをここでやるかもだって」



 チラシを見せてやれば……字を読むのもだいぶ慣れてきたので、すぐに顔を輝かせたのだった。



「春に……おまつりデスか?」


「中国は詳しくないけど……日本だと何かにかこつけてやりたがるのよ? 今回はしどたん以上に、総支配人が楽しみにして提案したぽい」


「ソーシハイニン……」



 苺鈴(メイリン)も面識がないわけではないので、どんな風に提案したのか想像しているのだろう。


 とりあえず、春祭りをホテルでやることは決定事項になったため……その日の夕飯の時間に、怜は裕司(ゆうじ)にまかないを頼んだ時にチラシを見せた。



「おー? 源さんが言ってたぜよ?」



 今日頼んだメニューは、全然春らしくないがカツカレーだった。



「やーやー、めちゃくちゃ楽しくなる気がするねぇ?」


「源さんがさ? 俺に焼きとうもろこしやれって」


「もろこしを?」


「作り立ての方が美味いから」


「源さんわかってるぅ!」


「だろぉ!!」



 出入り口側の喫煙コーナーから、山越(やまこし)の声が上がった。今日も相変わらず元気のようだ。



「ほかのメニューは夏みたいに、シェフ達と合同かい?」


「多分ねー? ビュッフェは作るかどうか……もしくは、棚卸し次第で用意するか」


「ありそう……在庫処分とかで」



 飲食店ではないが、業務用の食材とて賞味期限はきちんとあるのだから。

次回はまた明日〜

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