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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二十章 小森の場合⑩
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第3話『根曲り竹の味噌鍋』

お待たせ致しましたー

 自生しているものを収穫するには、リスクを伴う。


 水煮にした根曲り竹を今日初めて見たばかりだが……裕司(ゆうじ)がすっかり、このタケノコの虜になってしまった。


 昔より、今はネット通販もずいぶんと手頃な価格で手に入るので……裕司は、休みの日に(れい)と根曲がり竹パーティーをすることにした。



「おお!? こう言う味噌鍋ってはじめてかも!!」



 ただ、メニューは一種類。


 同じく、通販で紹介部分に記載されていた……イノシシの冷凍肉も入手したのだ。多少値は張るが、おススメにあったのだから試したくもなる。


 なので、作ったのはイノシシ肉と根曲り竹の鍋だ。ネギは九条ネギを用意した。



「その都度煮て楽しむものらしいぜよ?」


「全部煮込むんじゃないんだねぇ?」


「そうみたい。ささ、怜やんからどうぞ」


「では、ありがたく!!」



 今日のために用意した器に、根曲り竹とイノシシ肉を入れてやって。怜に渡せば、輝かんばかりに笑顔を綻ばせていた。


 息を何度か吹きかけて口に入れた後……その笑顔が恍惚のものへと変わるのが、裕司には何よりの褒美だ。



「んじゃ、俺も……」



 タケノコか肉か……となれば、まずはタケノコ。


 少し大きめの斜め切りにしたそれを……落とさないように箸で持てば。噛んだ瞬間の、ザクザク感がやはり楽しい。これも水煮なのでエグ味などが特にない。しっかりと出汁を取った味噌ベースのタレとよく合う。源二(げんじ)の言っていたように、甲信越地方だと味噌汁で食べるのが多いと言った意味がよくわかった。



「おいひー!」


「ヤッベ、止まんねー!」


「どんどん食べれるねぇ!! おネギも甘くておいひー!」


「九条ネギだからか?」



 ふたり分でも多めに用意した鍋だったが……具材がシンプルだったせいもあり、あっという間に具材を完食。締めには、米もいいが……たまには、と冷凍の稲庭風うどんと言う細めのうどんを茹でたものを入れてみたら。



「味噌煮込みうどんってこんな感じかなあ!?」


「米よか、こっちのが美味!!?」



 うどんで少し薄まったタレを、スープにして飲み干せるくらいの美味しさ。


 春だが、暑いくらい体感温度が上昇したので……エアコンの温度を少し低めにするのだった。



「いや〜……美味しかった美味しかった」



 片付けをする時に、怜は満足だと言わんばかりの笑顔だった。と言うより、ずっと笑顔だ。



「俺も。この前の炊き込みご飯もだけど……鍋でもタケノコは美味いって思わなかった」


「タケノコかあ? 水煮じゃなきゃ、灰汁取り大変じゃないんだっけ」


「根曲り竹はそうでもないらしい。けど、収穫はちょっと命懸けみたい」


「マジかぁ。タケノコ掘りしてみたかったぁ」


「普通のはあるかもよ?」


「おお!」



 片付けが終わった後、スマホではなくパソコンで並んで座ったら検索してみれば。


 今ならまだ、間に合うかもと言う結果にふたりの次の予定が決まったのだった。

次回は16時15分〜

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