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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二十章 小森の場合⑩
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第2話『春のタケノコご飯?』②

お待たせ致しましたー

 カラッと揚がった春巻きだが……カットはせずに、そのままを皿に盛り付け。タケノコご飯の方は、こっそりタケノコを多めに。


 小鉢にはさつまいものツナサラダ。春巻きの皿には、千切りキャベツを添えて。濃いめの味付けが多いのと、根曲り竹に合わせて汁物はお吸い物。


 出来上がったら、やってきた(れい)は目をとても輝かせてくれた。



「超絶美味しそ……う?」



 怜は、裕司(ゆうじ)が持ってきたトレー……特に、タケノコご飯を見て首を傾げたのだった。



「これ……タケノコ?」


「源さんが言うには、根曲がり竹って品種のタケノコ。水煮で手に入ったんだってさ?」


「……美味しい?」


「普通のタケノコよりザクザクしてて、食べ応えあるぜよ」


「マジか!? いただきます!!」



 と言って、怜はゆっくり持ってから席に行った。こちらに背を向けているのは相変わらずだが……食事の邪魔はしたくないので、裕司は他に来た従業員のまかないを作りながら……調理中に味見したタケノコご飯などの味を思い出す。



『うんま!?』



 見た目は、山菜のような……アスパラガスの内側に穴が空いている見た目だが。ザクザクした食感に、風味はたしかに……よく知っているタケノコそのもの。むしろ、食感だけなら裕司としてはこの根曲がり竹の方が好みだ。


 タケノコご飯には、ほかににんじんと油揚げを入れたがタケノコの風味が混じって、以前自分で作ったタケノコご飯よりも格段に上だった。


 灰汁などのエグ味もない、純粋にタケノコの味を楽しめる。



『こいつぁ、天ぷらにもいいが……なんか違うもんがいいなあ?』


『源さん……春巻きとかは?』


『お、いいな? 飯に合わせて……いや、変わり種も。小森(こもり)……カレー味と味噌系だとどっちが食いてぇ?』


『ん〜……サラダにさつまいもとツナ使ってますし。味噌よりはカレーじゃ?』


『よし。半洋風だからチーズも入れるか』



 と決まり、ルゥではなくカレー粉末を入れた春巻きは……少し辛めだが、根曲がり竹のザクザク感がご飯以上に楽しめる味となった。


 怜の方を少し見ると、背中からわかる『美味しい』と言う感情が伝わってきた。食べ終わったら、真っ先に感想を裕司に言ってくれるだろう。



(……普通のタケノコもいいけど、良い情報教わったなあ?)



 普通のタケノコでも、水煮はほぼ年中手に入るが……普通のタケノコは収穫して、わりかしすぐに灰汁抜きしないとエグ味が取れないのが欠点だ。春のタケノコはとかく有名ではあるけれど……品種は違っても、手軽に料理出来る……今回知った根曲がり竹は実に扱いやすい。


 それに、根曲り竹の別名は姫竹と言う可愛いらしい名前だったのは……怜も気にいる情報だろう。


 しかしながら、この根曲がり竹にもひとつ難点がある。竹林で手に入るタケノコと違い、低い位置にある笹の間に自生するのが特徴らしく……熊との遭遇が、万が一あるかもしれないと言うリスクがあるのだった。

次回はまた明日〜

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