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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十八章 小森の場合⑨
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第4話『コンビネーション、津餃子』②

お待たせ致しましたー



「「めちゃくちゃ美味そう……!!」」


「……ども」



 綺麗に片付けられた部屋の中央……、ローテーブルとレジャー用のテーブルを繋げて、無理矢理四人で座れるように(れい)中心にセッティングしてもらった。さすがは、ホテルでの宴会を裏から支えるスタッフのバイトをしているだけある。


 今回上がり込んだ、皐月(さつき)智也(ともや)は出来上がった揚げ餃子定食を見て……よだれを垂らしそうな顔をしていた。夫婦以前に恋人だが、似た表情をするな……と、裕司(ゆうじ)は思った。



「ふっふっふ! こもやんの料理は天下一品なのだよ!! バイトんとこのまかないだって、皆の胃袋をガツンと掴んでいるのだ!!」


「怜やん……そこまで無いない」


「否! 私が言うからそうだとも!!」


「……眞島(まとう)さんがそこまで言うなら、期待大!!」


「うん!!」


「怜やん!!?」



 作り慣れているとは言え、知り合いの人間にそこまで期待を持たせても……果たして、あのケーキバイキングの料理と比較して美味しいかと言われる自信はない。怜は食べ慣れてくれているから……美味しいと思ってくれるが、皐月達はそうとも限らない。


 でも、だけど。



「「いただきます!!」」



 出来立ての料理を美味しそうに見つめてくれるのは、とても嬉しかった。思わず、反射で『召し上がれ』と言ってしまうくらい。



「「!!?」」



 味噌汁をひと口飲んだ後、ふたりはそれぞれ揚げ餃子に箸を伸ばしてくれた。業務用のフライヤーほどまでうまくはいかないが、しっかりと揚げたカリッとした大判の餃子の皮を持ち……少し息を吹きかけた後かぶりついた音は。


 裕司としては、その乾いた音に思わずガッツポーズをしてしまう。



「「おいひー!!」」



 バイト先でもだが、家族や怜以外では久しぶりに聞いた賞賛の言葉に、裕司もつい嬉しくなってしまう。



「酢醤油なくても美味しい!! お肉の味付けしっかりしてるし!!」


「やべ。これ、いくらでも食える!!」


「怜が絶賛するだけあるよ!! さっきのホテルのより美味しいし!!」


「でしょー?」


「……どうも」



 怜もだが、ふたりの食べっぷりを見ると……つい、頬が緩んでしまう。


 裕司も食べないわけにはいかないから、とひと口食べたが。悪くはないが、やはり地元のサービスエリアや各店舗の味には負けている気がした。まだまだ、修行不足という訳だ。



「「「あー……美味しかった」」」



 裕司はともかく、三人の方には大満足いただけたので……食後の片付けは、と怜や皐月に任せて智也とまったり過ごすことになった。



「いやマジで。お世辞抜きに美味かったよ」


「どーも。俺んとこの地元だと、もっと美味いですけど」


「三重だっけ?」


「ええ。そこのサービスエリアとかも、結構腕よくて」



 最近だと、地元の名物として地域委員会とかが発足したらしい。春休みになったら、一度怜を連れてってやりたいところだが……そうすると、兄や妹が連れてこいとか言いそうなので、少し悩んでいた。


 両親らのように、怜を気に入って……特に妹は、ひっついて離れないような想像が出来るからだ。



「県外かー? 俺も、皐月んとこに挨拶するか?」


「は? 智也、なんか言った!?」


「言った言った。裕司くんらのように、挨拶するか?」


「……もぉ」



 とりあえず、このカップルとは知り合いから長い付き合いになりそうな予感がした。


次回はまた明日〜

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