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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十八章 小森の場合⑨
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第1話 何故、バレンタイン①

お待たせ致しましたー

 二月。


 節分もすぐに過ぎて、次のイベントとくればだが。


 男以上に、女にとっては一世一代の大イベントと言えよう。日本のバレンタインと言えばだが。



(……おかしいなあ?)



 そのバレンタイン当日の二月十四日。


 調理系の専門学生である小森(こもり)裕司(ゆうじ)は、少し不思議に思っていた。


 何故、自分がこのような場所にいるのかと言うことだ。



「いっくよ、こもやん!」


「あ、うん」



 恋人である眞島(まとう)(れい)と、出かけるのは別段問題はない。問題……と言うより、何故ここに他にもいるのだろうかと言うことだ。



「ヤッホー! ケーキバイキング来た!! バレンタイン限定!!」


「……あんまはしゃぐな」


「何よ? 智也(ともや)も甘いもん好きじゃない?」


「……好きだけど」



 裕司達以外に、もうひと組のカップル。怜の友人である伊東(いとう)皐月(さつき)とその恋人で二年先輩の富樫(とがし)智也だ。何故か、このカップルまで一緒なわけである。


 バレンタイン限定のプリンスホテルでのケーキバイキングに。


 いつも、怜や裕司らがバイトしているホテルよりは、数段グレードが高いホテルの一般開放フロアでの催し物だ。



(いや、富樫さんも渋るな……ここは)



 それぞれのカップルが偶然会ったわけではなく、提案として怜と皐月は打ち合わせたのだと言う。バレンタインと言うことで、料理が然程得意でない怜がバイト代から出すと言ったが……このホテルだと知った瞬間には、裕司も口出しした。払えなくないわけでもないが、バレンタインプレゼントにはいくらなんでも大盤振る舞いし過ぎだからだ。



「ではでは! 私とさっちゃんが第一陣取ってくるから」


「小森さんと智也は留守番してて!」


「皐月……全部甘いもんにするなよ?」


「わかってるって。適当にパスタとかも取ってくるから」



 女性ふたりの方がメインでは、と言う出撃を見送ったあと……あまり、話したことがなかった男ふたりが残されてしまった。


 学年も、裕司の方がひとつ下なので気軽に敬語を外すわけにもいかない気がしたからだ。



「えーっと……小森、くん」


「あ、はい」



 とりあえず、料金を先払いした後に取ってきたホットコーヒーを飲んでいると、智也の方から声をかけてきた。



「言い出しっぺ、実は皐月だったから……さ。眞島さんと君を巻き込んでごめん」


「……そうなんですか?」



 まったく来ない訳ではないが、怜もこう言う食べ放題はバイト込みで好んでいるので……てっきり、彼女から提案したのだと思っていた。



「俺っつーか、君ともう少し接点持たせた方がいいんじゃないとか言い出してさ?」


「? 俺と富樫さんが?」


「礼と言うか。まあ……聞いているだろうけど、俺と皐月の同棲言い出せたのが、君のお陰だったしね」


「あー」



 その当日に、怜から報告は受けていたが。


 まさか、そのような意図が今回あるとは思わないでいた。

次回は16時45分〜

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