第4話『はじめて、チーズハットグ』
お待たせ致しましたー
ざっくり調べてみると……スマホには、モッツァレラチーズとフランクフルトの芯に……アメリカンドックのような生地をまとわせて油で揚げる直前、パン粉かハッシュポテトのフレークをかけたりするそうだ。
味付けはそのままかぶりつくのもいいが、店前でケチャップやハニーマスタード。あと粉砂糖をかけても良いとか。
裕司には、粉砂糖は嫌だとさすがに思った。
「にいちゃん〜!! マイ、これ食べてみたいー!!」
妹の真衣香は興味を持って、兄の秀司のコートを掴んでいた。
「ん、いーよ」
すぐに了承するあたり、やはりそれなりにシスコンだからか。秀司は財布を取り出そうとしていたが、いきなり、裕司に来い来いと手招きしてきた。
「兄貴?」
「俺とかマイは食うにしても、お前とか母さんらどーする? そこそこ時間かかるぽいし」
「……食う」
「自分のは出せ」
「……おい」
半分くらい感動した瞬間を返せと言いたかったが、今更なのでそれくらいにしておいた。母達も興味があったのか、裕司に父親の分の代金を渡してから他を見に行った。裕司の分がないのは、やはり子は子で親は親だ。
祖父母達は、昼から重いのは辛いとふたりで適当に買いに出てしまった。
「はーい。お待たせしましたー!」
揚げたて、出来立てのチーズハットグは……油をよく吸ったホットケーキミックス生地の匂いがすごかった。
気分的に、裕司はケチャップとハニーマスタード両方をかけてみる。秀司と真衣香はケチャップ。ちょうど戻ってきた両親は、ハニーマスタードだった。
「みょーん!」
と真衣香が声に出すくらい……芯のモッツァレラチーズのお陰で、食べた箇所からチーズが勢いよく伸びていた。
味も、アメリカンドックにチーズを足した感じで悪くない。ほのかに甘いが、塩毛が強いので食事向きだ。ハッシュポテトの衣はこの屋台だと希望でつけてもらえるので……比較的安価だった。屋台としてはだが。
(怜やんも好きそうだなあ?)
チーズもだが、揚げ物も非常に好きだからだ。
裕司が時々まかない処で作らせてもらう、三重県名物の津餃子も彼女の大好物だ。向こうに戻ったら、出勤前とかに作ってやろうか考えたが……三ヶ日以降に、あちらの家族と挨拶があるのを思い出した。
(……母さんらが、両家挨拶にしたらいいんじゃって言ったけど)
むしろ、その方が確実な約束になるのでは。
裕司はそれくらい、怜が大事だし愛している。昨夜の通話でも、怜もほとんど同じようなことを言ってくれたし……挨拶の直前かどこかで、一度ふたりきりで話そう。
そのためには、両親にもう一度確認を取ろうと……ハットグを食べ終えてから、母の肩を軽く叩いた。
次回はまた明日〜




