第4話 最高の提案
お待たせ致しましたー
長野から裕司の部屋に着いたのは、深夜まではならなかったがそこそこ遅い時間となった。
お互い、冬休みではあるが明日からはまたバイトだったり実家に帰省などのスケジュールが立て込むので、長野に行くのも今日くらいしか予定を作れなかった。
「いや〜……ちょっと疲れたけど、たくさんところてん食べれて嬉しいねぇ」
色々、裕司の考えていたのとは違ったが……怜が喜んでくれて何よりだ。祖父母達は過剰に喜び過ぎな部分もあったが。
「怜やんが喜んでくれて何より。じいちゃん達も喜んでたし、また行く?」
「うん! 流石にお正月とかは行けないけどね〜」
「そりゃもちろん」
怜も父方が関西方面なので、真逆だ。ほぼ泊まりがけで行くので、三が日は向こうで過ごすことが多いらしい。今年の正月もそうだったので、ふたりで初詣行った時はのんびりと過ごせた覚えがある。
「けどさ〜?」
「ん?」
怜が急に、自分のスマホを裕司に見せてきた。SNSのメッセージ欄で、裕司にはあまり見覚えのないアイコンだったが……名前の部分を見てギョッとしてしまった。
『父さん:彼氏君がいるんなら、そろそろ連れてきなさい。出来れば、正月明けに』
と、あったため……流石に裕司も開いた口が塞がらなかった。
「こもやんとはさ? その……私の彼氏の中では一番長く付き合ってるし……ちょいちょいオトンとかには話すから……興味持たれた」
「え……マジ?」
「うん。オカンのもほら」
別のメッセージを見せてもらうと、似たようなことを言われていたのだった。既読とやりとりの日付を見ると、ちょうど昨日だったが。
「…………挨拶、言っていいの??」
なら、特急に乗る前に考えたことも言うべきだろうか。
「……こもやんが嫌じゃなきゃ」
と、怜は狡い聞き方をしてきた。逆を今日したのに、裕司が断るわけがない。むしろ、願ったり叶ったりと言うものだ。
「…………行くって、お返事よろしく」
「いいの!? ほんとに嫌じゃない!!?」
「逆に気に入られるかわからんけど……もちっと先のためにも、挨拶は絶対必要だからねぇ?」
「もちっと先?」
「…………俺が就職したら、一緒に住まない?」
「ほへ?」
まさか、そんな回答をもらえると思わなかったのか……呆ける表情が相変わらず可愛らしい。たまらずに、軽く唇にキスしたら……今度は音が鳴りそうなくらいに顔が赤くなった。
「そっちは嫌かい?」
「い、いいい、いや全然!!? いいの……?」
「もち。その報告兼ねて、連れてってくれるかい?」
「! もち!!」
飛び込んできた怜をキャッチする勢いで抱きしめ。
その日は、やはり移動でそれなりに疲れていたので……一緒にお風呂に入ってから共寝をしたのだった。
(……まさか、こんなに早く提案出来るとは思わなかったけど)
怜がとても喜んでくれたのなら、ある意味最高のクリスマスプレゼントであり……年始が近いからお年玉になったかもしれない。
裕司は腕枕の上で幸せそうに寝ている怜の髪を、少し撫でてから眠ることにした。
次回はまた明日〜




