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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十三章 眞島の場合⑦
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第1話 迎えた朝に

お待たせ致しましたー

 (れい)にとって、最高のクリスマスを迎えた翌日。


 少し肌寒い感じで目が覚めて……怜は、ゆっくりと目を開けてみた。すぐ目の前には、大好きな彼氏殿である裕司(ゆうじ)がぐっすり眠っていた。これまで共寝をしてきたこともあるので、寝顔は見たことはあるが。


 恋人らしい行為をしたことで……朝を迎えることがなかった。しかも、お互いパジャマなどを身につけていない。素肌に当たる、裕司の体温に嬉しくなってきて……改めて、昨夜は本当だったんだなと実感が湧く。


 なので、目覚めのキスとやらをしたくなったのだが……少し動いただけで、体に激痛がはしった。



「い゛っだだだだ!!?」



 脚が、腰が、腹部が。


 どこもかしこも、わずかに動いただけなのに悲鳴を上げていた。それが声にも出てしまっていたため、当然裕司は目を覚ましてしまった。



「……大丈夫かい?」



 怜の体勢を見て、流石に裕司も心配そうな声を掛けてくれた。怜はと言えば、掛け布団の中でうずくまり……痛みを逃そうとしているがうまくいかない。


 そう、怜は男女の行為についてはこれまでの彼氏達としたことがなかった。そう言う流れで、嫌だと感じて拒否していたからである。なので、自然消滅したりが続いていたが。


 裕司だけは、別格だったのだ。



「うぅ……うう!! あちこち痛い!! 筋肉痛以上に痛いよぉ!? 怪我してないはずなのに!!」


「……いや、ある意味怪我ぜよ?」


「うしょん!?」


「……言いにくい箇所に俺のを受け入れてくれたんだから……そりゃ、ねぇ?」



 わざわざ、未経験を卒業したばかりの怜に直接的な言葉でダメージを与えないようにしてくれる裕司の優しさが嬉しかった。


 よしよしと撫でてくれるのが布団越しに伝わると……裕司は平気らしく、ベッドから降りていた。



「……ご飯?」


「いや? 風呂入れてくる」


「お風呂!?」



 又聞きで聞くような、男女で一緒に入るパターンかと思ったのだが。裕司は戻ってくると、何故か着替えていた。



「こう言うことも考えて、怜やんを癒して差し上げよう」


「ふぇ??」



 タオルで体を隠して、ともぞもぞ動きながら渡された大きめのバスタオルを巻きつけ……出来たら、裕司に言うとひょいと抱えられたのだ。



「ほーい、かけ湯するぜよ」



 ひとりで入らされると思ったら、濡れてもいいのかスウェット姿の裕司にバスタオルの上からぬるめのシャワーで濡らしされ……そのあとは、髪も濡らしてからゆっくりと湯船にまで運んでくれた。


 肩まで浸かる湯量じゃなかったが、適温だったために怜はたまらず『生き返る〜』と声に出てしまった。



「ふぉ〜……気持ちいい」


「ん。じゃ、髪洗うな?」


「え。至れり尽くせり」


「なんとなく。怜やんは『未経験』だったんなら、こうなるだろうなって予想してただけぜよ」


「うぅ……」



 キスは流石に違うが、高校生でそういう経験をするのを本能的に拒否したいと感じていたため……怜はこれまでの彼氏達にそう言う対応をしてしまった。


 だから、大学では違うようにしたいと思っていたのに……裕司と付き合うようになって、いくらか不安だったが。昨夜、キチンと理由を聞けたので……正直ホッと出来た。裕司も裕司なりに考えてくれていたのだな……と。


 とりあえず、美容室以外で男性に髪を洗われるのは……彼氏だと言うこともあり、新鮮だったが嬉しかった。

次回は16時15分〜

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