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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十二章 小森の場合⑥
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第4話 出来なかった気持ち

お待たせ致しましたー

 それから一時間も経たないうちに。



「にゅ〜……」



 せっかく、一線を越えると裕司(ゆうじ)は覚悟を決めていて……(れい)もきっと期待してくれていたと思ったのに。


 バイトの疲れ、風呂のリラックス。そこに適度なシャンパンでのアルコールが加わり。


 怜は今、ヘロヘロに近いぐらい床にへたり込んでいた。裕司のパジャマを着ているので、余計に裕司の劣情を鷲掴みにするような打撃を与えてくる。


 大事にしたい彼女ほど、ここまで魅力的だと思わなかった。



「……怜やん。そこで寝たら風邪引くぜよ?」



 肩を揺すっても、ふにゃんとした表情がさらに可愛くなっていくだけだった。襲い掛かりたい気持ちにかられたが、初めてかどうかわからない怜にそんな仕打ちのようなことは出来ない。


 仕方がないので、抱き上げてやると……起きたのか、怜が裕司に抱きついてきた。



「?」


「……今日も、なんもないのかね?」


「怜、やん?」



 もしかして、リラックスし切っていたのはわざとか。


 怜の顔を覗き込むと、少し泣きそうな表情で裕司の顔を見上げてきた。



「もう……一年くらいだよ? キスはしたけど……私はそんなにも魅力がない??」


「……そんなことない」



 落とさないように、ベッドの上に腰掛けてから……裕司は怜をきつく抱きしめてやった。共寝をする時もあるが、このように抱擁する機会もいつぶりか。



「こもやん?」


「俺は……結構ぐうたらな奴だったんだ」


「そうなの?」


「ん。怜やんのように楽しく付き合うのも……今までの元カノとかにはして来なかった。だから……ちょっと、怖かった。好き勝手に触れていいのか」



 怜は、ひとつ年下でも……とても輝いているように見えた。他愛ない話でも、嬉しそうに聞いてくれる笑顔と裕司の作るまかないを美味しそうに食べてくれる表情が、眩しく……裕司の目に映った。


 これまで、男女問わず……まかない処では似たような表情を見てきたのに、怜だけ別格だった。気づいたら、惹かれていたのだ。だから……交際出来るようになってからも、今までの元カノのように気軽に触れられなかった。


 少しきつく抱き締めると……怜が腕を伸ばして裕司の背に回してくれた。



「……大丈夫。私はここだよ? こもやんだけに触れてほしいのだよ。だから、あんな誘い方したけど」


「…………俺以外にしないでよ?」


「しないしない。絶対」



 そして、お互いに顔を見合ってから……引き寄せられるように、顔を近づけた。


 それなりに時間がかかったが、やっと触れ合える。


 そのことに裕司は嬉しくなり……結果、お互いが爆睡するまで求め合ってしまったのだった。


 途中、裕司は一回だけ目が覚めたが……怜の目元に涙の跡が出来ていたので、これからはセーブ出来るか自信がなかったがお互いのわだかまりが消えてよかったと……軽くそこに口付けた。

次回はまた明日〜

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