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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十一章 眞島の場合⑥
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第4話『カボチャ尽くし料理』②

お待たせ致しましたー

 オーブンレンジで焼いているの間の時間は……まさに、(れい)には地獄だった。


 パイシートが焼ける時に出てくる、バターの香りに加え。ミートパイなので、ミートソース仕立ての中身の香りも相まって。


 20-30分もかかる焼き時間は、怜の胃袋をどんどん刺激してくるのだった。


 片付けも、怜が裕司(ゆうじ)を率先して手伝ったために早めに終わり……待っていることしか出来ず、どんどん強くなってくるミートパイが焼ける匂いに耐えるしかなかった。



「くっ……! 香りで私を殺せる!!」


「物騒なこと言わんと。まあ、気持ちはわからんでもない」


「こもやんの料理は匂いでも、私を満足してくれるぅ!」


「……先にプリン食べるかい?」


「いやいや、デザートはデザートだよ」



 メインの後には、隙間にデザート。これは鉄則だと勝手に思っているのだ。


 だから、お互いテストも明けたし、ゲームでもするかとゲーム機器で対戦したらあっという間に過ぎてしまい。


 匂いもゲームで半分忘れた頃に、オーブンレンジの音が鳴った。



「うん、まずまず」



 裕司が焼き目を確認してくれたので、熱いうちにと包丁で切れ目を入れてからテーブルに持ってきてくれた。


 暴力的な良い匂いが、目の前にやってきた。


 これは一刻も早く口に入れねば、と思ってしまう。実は並行して作っていたかぼちゃのポタージュも一緒に用意してから、ふたりで手を合わせた。



「こもやん、渾身のミートパイ!! いっただきまーす!!」


「召し上がれ」



 女子らしくするならフォークで切り分けるが、裕司の前では今更なのでひと切れにフォークを刺して、豪快にひと口。


 裕司もとやかく言わないのと、彼も豪快にひと口で食べていたのでお互い様だった。



「ふぉ!? ミートソースっぽい!! おいひー!!」



 サクサクのパイ生地に、染み込むようにぎっしり詰まったミートソース。豚ミンチは粗挽きで、カボチャもだが、他の材料との相性も良いし……よく噛めるので食べ応えがあった。


 怜としては、ちょっとだけチーズが欲しいな……と、顔に出ていたのか裕司がキッチンの方に、何かを取りに行った。



「怜やんのことだから、チーズが欲しいのだろう?」



 とろけるタイプのピザ用チーズに、家でも使えるガスバーナーを持ってきた。さすがは裕司だと、はしゃぎそうになったが至近距離で火を扱うのでじっとすることに。


 食べかけの方にもだが、まだ耐熱皿にある残ったパイにもチーズをかけて炙って。


 テスト明けの、最高のディナーを味わうのだった。



「はぁ〜……今日は満腹だらけだよ」



 食後にと取って置いたカボチャのプリンは言うまでもなく。濃いめのコーヒーと合わせれば、至福のひと時を過ごせる。



「俺も腹一杯……」



 裕司も同じで、プリンをちまちま食べていた。



(……こもやんとはあと一年くらいかあ)




 今のバイト先で、一緒にいられるのがだ。もともと同じ所属先ではないし、怜のシフトで裕司がまかない処で仕事をしていない場合だってある。


 その逆も然り。


 これから一緒にいられることが……ずっとでないのが怜には不安だ。


 付き合う時も、裕司の元カノに辛い思いをさせてしまった。しかし、彼女も彼女で今はきちんと相手がいることを裕司が学校の噂で聞いたらしい。


 それでも、だ。


 付き合って二年目なのに、キス以上の関係がないのは……裕司が、彼女と比較しているのかと不相応なことを考えてしまう。

次回はまた明日〜

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