第3話『カボチャ尽くし料理』①
お待たせ致しましたー
裕司の部屋があるマンション近くで買い物を済ませ、途中でなんと怜の友人である伊東皐月が彼氏と一緒に歩いてるのに遭遇した。
「さっちゃん!」
「おー? 怜……と、お久しぶりです」
「ども。あ、そちらの方は」
「富樫です。皐月から時々聞いてます」
「おー! 智也ん先輩!! お久しぶりです!!」
「ん、眞島ちゃんも元気そうで」
裕司よりも頭ひとつ分背の高い男性が、皐月の彼氏。四年生の富樫智也である。彼らも買い物帰りなのか、マイバックに大量の食材を入れていた。
「さっちゃん達も買い物帰り?」
「そーそー、智也んとこの食材ゼロだったからさ?」
「……レトルトとかあんじゃん」
「栄養偏り過ぎだから!? 私も手伝うから、今日は料理しまくるの!!」
「……わーったよ」
二歳も年下なのに、すっかり姐さん女房が板についているとは怜は言わない。今の様子だと、火に油を注ぐ結果になるからだ。
「んふふ!! こっちはカボチャ尽くしなのだよ!! 私もちょこっと手伝ったけど、ミートパイとカボチャプリン!!」
「あんたが……? 小森さん、怜の無茶に付き合ってませんか?」
「ちょっとぉ!」
「いやいや、俺らのバイト先からタダでもらったカボチャの処理も兼ねて。うちはオーブンレンジだから、怜やんとこで作るよりもいいしね」
「こもやぁん」
「美味そ……皐月、俺らも」
「材料あっても作れない!! 生ものあるから早く帰ろ!! 怜、小森さん、また!」
「……へーい」
さっさと腕を引っ張って帰っていく皐月は……やはり、姐さん女房に見えたのだった。
「仲良いねぇ?」
「でしょー?」
「自慢の友達?」
「もち!」
裕司も自慢の彼氏なのはもちろんなので、買い物袋を潰さないように抱きつく。
しかし、怜達も生ものを買ったので……秋より冬に近いがまだ温かいからと急いで帰り。材料の一部を取り出す以外は冷蔵庫に仕舞う。
途中、冷蔵庫の中にプリンの器を見て……ああ、これを後で食べられるのだなと嬉しくなった。とりあえず、怜にはパイシートを渡された。
「耐熱皿に薄くバター塗って、ちょいとシートを麺棒で伸ばしたら……皿にくっつけるようにシートを敷いて欲しいぜよ」
「ちょいと粘土細工のように思えるねぇ?」
「シート敷けたら、フォークで穴あけてほしいんだ。市販のもだけど、パイシートは熱でふくらみやすいから……結構あちこちぶっ刺してくれ」
「りょーかい!!」
たしかに、パイシートは冷凍ものを買ったのにもう柔らかく……耐熱皿にもしっかりくっついた。バターのお陰もあるだろう。それから……ちょっとストレス解消と言うべきか、限界までフォークであちこちに穴を開けるのだった。
「ちょい待ち、怜やん」
「ん?」
「そこまでは……いいぜよ」
「おっとぉ」
フォークの穴が空き過ぎて、生地が大変なことになるところだった。
そこからは、裕司が仕上げていたミートパイの具材を入れたり、余ったパイシートで格子目を作るのが楽しかった。
次回は16時15分〜




