表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第十一章 眞島の場合⑥
43/192

第3話『カボチャ尽くし料理』①

お待たせ致しましたー

 裕司(ゆうじ)の部屋があるマンション近くで買い物を済ませ、途中でなんと(れい)の友人である伊東(いとう)皐月(さつき)が彼氏と一緒に歩いてるのに遭遇した。



「さっちゃん!」


「おー? 怜……と、お久しぶりです」


「ども。あ、そちらの方は」


富樫(とがし)です。皐月から時々聞いてます」


「おー! 智也(ともや)ん先輩!! お久しぶりです!!」


「ん、眞島(まとう)ちゃんも元気そうで」



 裕司よりも頭ひとつ分背の高い男性が、皐月の彼氏。四年生の富樫智也である。彼らも買い物帰りなのか、マイバックに大量の食材を入れていた。



「さっちゃん達も買い物帰り?」


「そーそー、智也んとこの食材ゼロだったからさ?」


「……レトルトとかあんじゃん」


「栄養偏り過ぎだから!? 私も手伝うから、今日は料理しまくるの!!」


「……わーったよ」



 二歳も年下なのに、すっかり姐さん女房が板についているとは怜は言わない。今の様子だと、火に油を注ぐ結果になるからだ。



「んふふ!! こっちはカボチャ尽くしなのだよ!! 私もちょこっと手伝ったけど、ミートパイとカボチャプリン!!」


「あんたが……? 小森(こもり)さん、怜の無茶に付き合ってませんか?」


「ちょっとぉ!」


「いやいや、俺らのバイト先からタダでもらったカボチャの処理も兼ねて。うちはオーブンレンジだから、怜やんとこで作るよりもいいしね」


「こもやぁん」


「美味そ……皐月、俺らも」


「材料あっても作れない!! 生ものあるから早く帰ろ!! 怜、小森さん、また!」


「……へーい」



 さっさと腕を引っ張って帰っていく皐月は……やはり、姐さん女房に見えたのだった。



「仲良いねぇ?」


「でしょー?」


「自慢の友達?」


「もち!」



 裕司も自慢の彼氏なのはもちろんなので、買い物袋を潰さないように抱きつく。


 しかし、怜達も生ものを買ったので……秋より冬に近いがまだ温かいからと急いで帰り。材料の一部を取り出す以外は冷蔵庫に仕舞う。


 途中、冷蔵庫の中にプリンの器を見て……ああ、これを後で食べられるのだなと嬉しくなった。とりあえず、怜にはパイシートを渡された。



「耐熱皿に薄くバター塗って、ちょいとシートを麺棒で伸ばしたら……皿にくっつけるようにシートを敷いて欲しいぜよ」


「ちょいと粘土細工のように思えるねぇ?」


「シート敷けたら、フォークで穴あけてほしいんだ。市販のもだけど、パイシートは熱でふくらみやすいから……結構あちこちぶっ刺してくれ」


「りょーかい!!」



 たしかに、パイシートは冷凍ものを買ったのにもう柔らかく……耐熱皿にもしっかりくっついた。バターのお陰もあるだろう。それから……ちょっとストレス解消と言うべきか、限界までフォークであちこちに穴を開けるのだった。



「ちょい待ち、怜やん」


「ん?」


「そこまでは……いいぜよ」


「おっとぉ」



 フォークの穴が空き過ぎて、生地が大変なことになるところだった。


 そこからは、裕司が仕上げていたミートパイの具材を入れたり、余ったパイシートで格子目を作るのが楽しかった。

次回は16時15分〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ