第4話『豆腐でお好み焼き定食』
お待たせ致しましたー
テスト期間も無事に終わったので、裕司は怜を部屋に呼んだ。
期間中に何度も食べたが、何度も飽きないお好み焼きを振る舞うためだった。
ただし、裕司がちょいちょい食べていた作り方とは少し違ったものを。
「おおお! こもやん!? これ豆腐!!?」
怜には、裕司が生地作りをする時に材料を入れて欲しいと頼んだのだ。
「そうぜよ? タンパク質もたっぷり、そして太りにくいお好み焼きには欠かせない材料なのだよ」
「ほほう? 粉めっちゃ少ない代わりに豆腐?? 焼く時崩れたりしない?」
「ところがどっこい。繋ぎの卵や長芋でちゃんとくっつくのだ」
「へー?」
軽くキッチンペーパーで水切りした木綿豆腐を、怜に軽く崩しながらボウルに入れてもらい……裕司がざっくり生地を混ぜたら、あとは普通のお好み焼きの作り方と同じだ。
ただ、今回は怜に振る舞うことだったので天かすと紅生姜入れている。ソースも既にスタンバイ済みだ。
「んじゃ、焼くか」
「は! では、待機するのでありまする!」
「うむ、大人しくしておるのだ」
「らじゃ」
豆腐と肉でタンパク質は考えたが……怜にはさらに喜んでもらいたいので、裕司は冷蔵庫からスライスチーズを取り出す。ピザ用チーズだと、少し味が濃いめになったのでスライスの方が幾らかまろやかになるからだ。
生地を少しフライパンに乗せ、軽く均したらチーズ二枚。その上にふんわりと生地と豚バラ肉。
これも、あとは普通に焼けば完成。
一緒に食べたいので、コンロはふたつともフライパンで占めている。米は今日の場合炊飯器だが、味噌汁は相変わらずフリーズドライ。
そろそろ、カセットコンロを買うべきかとも考えたが、テーブルが小さいのでやめておくことにした。
うずうずしながら待ってくれている怜のために、生焼けにならないようにしっかり焼いていく。
両面が焼けて、菜箸でも溶けたチーズ以外くっついてこなかったので大丈夫だった。仕上げのソースなどをトッピングしたら……洗い物はあとでいいかと、出来立てをふたりで食べることにした。
「お待たせ」
「おおお!? 見た目、普通のお好み焼きだー!」
「でしょー?」
たっぷり食べても、出来るだけ罪悪感の少ないお好み焼き。
一度作って食べたが、木綿豆腐の味があまり気にならなく、結構食べやすい味だったのだ。
食べ始めれば、怜は大ぶりに箸で切り分けて、ゆっくりと口に入れてくれた。
「ふぉ!? 豆腐ってわかんない!? おいひー!!」
「間にはチーズがあるぜよ?」
「!? ほんとだ、とろーんって!!」
チーズが糸を引く様子が嬉しかったのか、怜は米もだが味噌汁も交互に口にしながら……豆腐のお好み焼きを堪能してくれる。
わずか、数週間でも……怜と食事をしなかったのは寂しかった。だから今、こうして可愛い彼女が自分の料理を美味そうに食べて食えるのが、凄く嬉しい。
裕司も冷めないうちに、と口に入れたら……チーズはスライスでやっぱり正解だと思った。
そして……意外にも豆腐のお好み焼きの食べ応えがあったのか、ふたりでの食事に満足出来たのか。珍しく、ふたり揃ってお好み焼きは一枚で充分だった。
次回はまた明日〜




