第4話 酔い覚ましから、恋のキューピッド
お待たせ致しましたー
実に楽しいパーティーだった。
お開きになった後に二次会など……と言われたりもしたが。
怜は流石に飲み過ぎたと……一応裕司に連絡を入れた後に、途中まで一緒にいると言ってくれた王と近くの公園で酔い覚ましの風を浴びることにした。
「悪いね〜?」
「いいえー。マトーさんに何かあってはいけません」
「まあ、ね?」
悪酔いはしてないが、少し飲み過ぎで頭がぼんやりする程度。真尋がサービスしてくれた、あのカルーアミルクが効いたのかもしれない。
「……何度も言いますが。おめでとーございます」
「いえいえ〜、ありがとうー」
「バイトからお世話になっていた……マトーさんだから、幸せになってほしい……デス」
「……うん」
王は後輩ではないけれど……同期とも少し違う。
だが、怜がヴィランにバイトとして入社してから……ずっとずっと一緒に頑張ってきた仲間だ。その言葉が嬉しくないわけがない。
「……私、も。幸せな結婚……したい、デス」
「そういや、聞かないねぇ?」
「気になる……ヒトは、います」
「ほうほう!! 誰々!?」
気になるのも無理はない。
仲間の幸せのためには、尽力を惜しまないものだ。怜が興味津々に聞くと……王は目をしどろもどろに動かしてから、口を開けた。
「……張……さん」
「ほうほう!」
国は違えど、同じ外国人枠。
となれば、研修などで一緒になることも多い。なら、親近感などが湧くのも無理がないだろう。そこから好意に発展したのかも……と。
と、怜が聞けば……王は強く頷いた。
「とっても……優しい、デス」
「いい人材だねぇ? じゃ、じゃ! 告白は?」
「……実は、返事……待ち、デス」
「え、いつ言ったの?」
「……昨日」
「おお」
今年の春からも一緒に仕事をするのは変わりないが、王は結構行動派だ。返事が待ち遠しいだろうが、張の気持ちを急いで聞きたいわけでもないとは思う。
何故なら、『昨日』と口にした後に暗がりでもわかるが苦笑いしていたからだ。
「……えーと」
とここで、何故か裕司もだが……先に帰ったはずの張まで一緒に来たのだ。
これには、怜もだが王も発狂しかけた。
「「な、ななな!!?」」
「……ごめん。怜やん」
「……聞いてた、デス」
驚きはしたが、すぐに怜は平静になれた。どこから聞いていたかはわからないが……王のためを考えて、怜は張を呼んで王を渡し。怜は怜で裕司の腕を掴んで、さっさと帰ることにした。
「「マトーさん!?」」
「お邪魔虫は退散〜〜」
「……頑張って」
「「コモリさん!!?」」
邪魔者はさっさと帰るに限る。
裕司と苦笑いしながら公園を後にして……ゆっくりと自宅に帰って行くことに。
玄関に着いた時に、ふたりからLIMEがあったが……確認したら、ツーショットに合わせて『付き合います』のメッセージが送られてきた。
「やあやあ、恋のキューピッドだねぇ?」
「……俺も?」
「もち」
これから色々忙しくなるが、ゆっくり歩いていこう。
とりあえずは、ふたりで一緒にお風呂に入ったのだった。
次回はまた明日〜




