第2話 再会と飲み会
お待たせ致しましたー
プチパーティーこと、怜と裕司の結婚決定への飲み会当日。
怜は怜。裕司は裕司で、それぞれの部署で参加することになった。
先に怜の方が日程的に早かったので、その日の会議セッティング以外の業務が終わったら……すぐに飲み屋へ直行。
飲み屋と言っても、ホテルからあまり離れていない建物地下にある居酒屋だった。
そこは、怜がバイトとして入社した時だけでなく、正社員雇用への昇進の時もお祝いとして会場にしてくれた思い出の場所だ。
「あんらぁ? 怜ちゃんじゃなぁい?」
と、席に行こうとしたら……何故か、真尋が店員として対応してくれたのだ。
「まーちゃん!」
「おや? 彼女、眞島ちゃんのお知り合い?」
「……こう見えて、男性なんですが。小森くんの従兄弟さんです」
「え゛」
紫藤には少し好みの相手に見えたのか、少しばかりショックを受けていた。
「はぁい? ヴィランホテルの御一行様でしょうか? ご案内しますね〜?」
「……まーちゃん、なんでここに?」
「あたしの働いてるBARとは系列店なのよ〜? ちょっとしたヘルプね?」
「……なるほど」
とりあえず、再会を喜ぶよりも今日のメインは怜を祝福する席だ。紫藤は葛木が無理矢理引っ張ってきたので、真尋に続いて予約席の個室に向かうことに。
「では、ご注文がお決まりの時はベルを押してください。もし、今お飲み物がお決まりでしたら伺いますが」
「「「絶対ビール!! 全員ジョッキで!!」」」
葛木、王、優樹菜がそう言ったので、真尋は『かしこまりました〜』と言って準備のために下がって行った。
「うぉ〜……あんなかわい子ちゃんが、男ぉ?」
「世の中色々あんじゃん。奥さんに告げ口されたくなきゃ、さっさと消化なさい」
「やめて!? ツヅくん!!?」
総支配人の都築は少し老け顔だが、紫藤らとは実は同期らしくプライベートでは仲が良いようだ。
都築ももちろん妻帯者だが、今日は帰宅せずに怜のために参加してくれたとか。
目が合うと、彼は眼鏡越しに柔らかく微笑んでくれた。
「今日は眞島さんのための会だ。好きなものを頼んでいいんだよ?」
「ありがとうございます!」
遠慮しなくてはいいものの、久しぶり過ぎてどれを頼もうか非常に悩んでしまう。
少し考えたが、結局女性陣の意見も踏まえたシェアしやすいメニューをひと通り頼むことにした。
「……バイ貝の旨煮は絶対」
「サザエがいいじゃない?」
キャプテンはキャプテン側で、好きに頼むにも熾烈な戦いを繰り広げていたが。
「はぁい!! お待たせしました〜、まずはビールジョッキでぇす!!」
注文を別の店員に伝えた直後に。
枝豆のお通しと一緒に、真尋がジョッキをひとりで持ってきたのだった……。
次回はまた明日〜




