第2話 兄との以前は
お待たせ致しましたー
双子とは言え、二卵性だから外見もあまり似ていなかった。
だから、優劣なども……からかいついでに色々と言われたものだ。勉学側でも、秀司には劣っていた。それなのに……高校は裕司と同じように専門学校に行った。分野はデザイン関連だったが。
(真衣香が生まれたあたりに……ちょっとだけ協力はしたけど)
それもほんの一時期で、今のような関係にはなれていなかった。
それが……怜と出会い、心にゆとりが持てたお陰もあり。少しずつだが……兄との距離を縮めていこうと思った。結果、今のような関係を築けている。
秀司も秀司で、メアリーという最愛の存在と出会ったお陰もあって……裕司に歩み寄ってくれたと思いたい。
とりあえず、皐月らの祝いの品も決まったので……時間が思ったよりも出来たため、買い出しに行こうと決めた。
今日は怜も早上がりなので、しっかり食べようと考えていると……スーパーに入っただけで、赤とピンクの色が目に飛び込んできた。
「……ああ」
節分も終わって、忘れかけていたが。
もうバレンタインの季節だな、と思い出せた。皐月らとは、学生時代にスイーツバイキングに行ったあとに……自宅で津餃子を振る舞ったのだとも思い出した。
(……うーん。けど、つわり酷そうなら揚げ物は大変だろうし)
検査入院からは、皐月も無事退院出来たそうだが……智也がLIMEで知らせてくれた範囲だと、ほぼなんでもつわりが酷くて嘔吐を繰り返しているようだ。
となれば、下手にバレンタインに誘うのも難しいだろう。
怜は大勢で騒ぐのも大好きだが、ふたりで祝うのも好きな方である。
皐月らのフォローももちろんするが、今年は怜とふたりで祝おう。そうと決まれば……夕飯などの材料以外にも、バレンタイン用に必要な材料も買うことにした。
「……バレンタイン、共同作業?」
夕飯に油淋鶏を作って食べながら、裕司は怜に提案してみたのだ。
「そうそう。本番の日は難しいけど、別日に休み申請して……どうかな?」
ホテル側では、バレンタインフェアをすると……中尾から業務連絡があったので、無理そうだと別日に提案したわけで。
「おー! いいねいいね!! やろやろ!!」
「お手軽に、どっしり重たい豆腐のガトーショコラの予定ぜよ」
「……豆腐でケーキ作れるのかい?」
「うむうむ。時に、怜やん。豆腐でチーズもどき作れるのは知ってるかい?」
「うんにゃ? けど、ゆーくんが言うなら手伝うー!!」
「材料は揃っているから、あとは休みだけだねー」
豆腐の賞味期限は短いので今回は購入していないが、チョコレートは文句無しの保存が効く食品だ。
裕司はすぐに怜と休みの日を決めて……それぞれ上司にLIMEでメッセージを送ると、シフトがちょうど決めていたところなのか、それぞれすぐに『大丈夫』との返事をもらえた。
次回はまた明日〜




