第1話 兄への依頼
お待たせ致しましたー
友人達への祝いの品は、結局怜が提案してくれた『おむつケーキ』と言うことで決まった。
見た目は、本当におむつをうまい具合にデコレーションしたウェディングケーキのよう。きっと、皐月らも喜んでくれるだろうと……デパートのベビー用品部門で予約をして、怜とふたりで久しぶりにレストランでディナーも楽しんだ。
(……これは、ある意味怜やんの提案だからなあ)
裕司としては、少し物足りない気がした。皐月にもだが、智也にもなんだかんだ世話になっている。何か、形に残るものを贈りたいと思い……頼った先は。
「まいどー」
自身の双子の兄であり、先日婚約と同棲を始めたばかりの秀司のところだった。
「忙しいとこ、ごめん」
「いいって。片付けはだいたい落ち着いた」
「むしろ、仕事くれてありがたいわよねー?」
メアリーも、今日はいるのかふたりにコーヒーを用意してくれた。
「そーそー。んで? メインアクセはさすがにその智也さんが頑張るだろうから……お前はどんなの贈りたい?」
「んー。無難なとこで……ブレスレット、とか?」
「妥当。チェーン? バンクル? もしくは革?」
「……そんな種類あるんだ」
「お前は仕事柄、そう言うのはつけれんからな?」
「悩むわよね〜?」
うーん、とここは三人でしっかり悩むことにした。
「ずっとつけとくことも考えると……チェーンとバンクルはある意味ダメじゃない?」
「まあ、その智也さん会社員だろ? 営業? 技術職?」
「営業……とだけ」
「んー。マリッジリングのように、ずっとは無理だろうけど……装着しやすいとなれば革だな? 普通のベルトもいいが、時間かけるなら編むとか」
「編むとか出来るの?」
「裕司君、見たことない? ミサンガ以上に複雑に編み込んだやつとか」
「ああ!」
たしかに、あれは複雑で凝った作りだ。中央などに配置されている飾り石もピンキリあるが、いい値段だそうで。
なら……と、一度怜にメッセージで伝えてから少し待つと、休憩時間だったのかすぐに返事が来た。
『お金折半するから、お願い! デザインはゆーくんらに任せた!!』
なので、皐月らが好きな色合いだけを彼女に聞いてから、秀司に製作を頼むことになったのだ。
「んじゃ、兄貴頼んだ」
「お任せあれ〜。期待以上の仕上がりにしてやる」
「ん」
「シューに任せちゃって大丈夫よー?」
兄に何かを頼む。
こんな簡単なことが、学生時代はまともに出来なかったのが嘘のようだ。
あの頃は、とにかく荒んでいたから……。
(……怜やんと出会って、色々変われた)
ちゃらんぽらんになっていた裕司を変えてくれたのは、本当に怜のお陰だ。感謝してもしきれないし、ずっと大事にしたいと改めて思うのだった。
次回は16時45分〜




