第4話『ひと休みの豚こまカレー』
お待たせ致しましたー
「いや〜〜、ゆーくんに何にも言われてないのに。周りから『おめでとう』って言われたのには、びっくりしたよ」
裕司と怜は、今一緒にまかない処で休憩を兼ねた昼ご飯を食べている。
裕司の休憩時間は、山越が中尾に連絡してくれたことで少し伸びた。山越なりの詫びのつもりだそうで。
「紫藤さんは乗り気過ぎだったけど……」
今頃、訂正に駆け回っているだろうが……そこは自業自得なので、裕司らは間に入らない。とりあえず、今日のまかないである豚こま入りのカレーは文句無しに美味しい。
「キャプテンはイベント大好きだからね〜?」
「……大好きで片付けていい話じゃないけど」
「まあね?」
婚約はしているが、決定的なプロポーズはまだだ。
紫藤の時に否定した勢いで、怜には言いたくはない。
裕司なりにも、タイミングとシチュエーションくらいはきちんとわきまえているのだ。
「……とりあえず、智也さん達をサポートしなくちゃね」
「そだね? さっちゃんは、つわりがさっそく酷いらしいし」
「個人差あるらしいからね?」
そこについては、男である裕司とかは想像しか出来ない。女性の日もだが、男はどうしたって共感出来ない部分が多いのだ。
「とりあえず、ゆーくん」
「ほいほい?」
怜が彼女なりにキリッとした表情をしたので、裕司もすぐに返事をした。
「ふたりへのお祝いを考えようよ」
「おお、そうだった」
バタバタしていたので、その考えにはすぐに行き当たらなかった。
「お包み? よだれかけ? 色々あると思うけど」
「親戚の夫婦だと……布おむつがたくさん欲しいとか、昔言ってたぜよ?」
「おむつ! そう言えば、プレゼントでケーキみたいに配置した『おむつケーキ』ってあったなあ!!」
「んじゃ、それメインで探すか?」
「コモリさん! マトーさん!!」
案がまとまったところで、スタッフの王がダッシュしてきたのか、息切れながら入ってきた。これから出勤なのか、まだ私服だった。
「王ちゃん?」
「どしたの??」
「ご結婚……が、決まったッテ!!」
「「違うから!?」」
紫藤がLIMEか何かで報告の連絡をしてしまったのだろう。訂正をまだされていなかったのか、王はすぐに信じてしまったようだ。
裕司らが否定すると、まるでウサギが耳を垂れたようにしょんぼりとなった。
「……せっかく。お祝い、考えていましたのに」
「まあまあ。考えてくれたのは嬉しいよ?」
「……ハイ」
とりあえず、王も出勤なので着替えに行った。
裕司と怜はも、休憩時間が限られているのでカレーを食べ進めた。ルゥは業務用だと思うが、具材はしっかり煮込まれて……ルゥと混ざると市販の中辛より少し甘く感じた。
そこに、豚こまの脂と柔らかなった肉が合わさると、胃袋にガツンとパンチされるような幸福感。
完コピは出来ないが、今度家でも作ってみようと裕司は決めた。
次回はまた明日〜




