表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部拾玖 裕司の場合⑨
178/192

第2話 軽はずみじゃない

お待たせ致しましたー

 智也(ともや)らの自宅に向かうと……皐月(さつき)はいなかった。


 さすがに昨日今日で出勤するわけにもいかないし、検査も色々必要と言うことで……数日婦人科に入院することになったのだとか。



「さ、入って入って」


「お邪魔します」



 手土産に、ホテル内にあるデザート部門が併設で販売しているケーキを買ってきた。皐月と言うよりも、智也のために。


 渡すと、それなりに喜んでくれたが……すぐに食べないと冷蔵庫にしまわれた。


 今から話す内容が、ケーキを食べながらするものではないからだ。



「で? 話とは?」



 だいたいは予想出来るが、どのパターンなのかはわからないので……裕司(ゆうじ)は少し身構えた。


 すると、智也は少し長めに息を吐いた。



「……皐月とは、結婚したい」


「まあ、それは」


「妊娠がなくても、考えてはいた。けど……いきなり、それがあって」


「……混乱してると?」


「まあね」



 男女のエチケットを守っていたらしいが、ある日うっかり忘れていたのだとか。


 人間、誰しも完璧があるわけではないので……それは仕方がない。


 その責任を背負う智也を、裕司は別に軽蔑したりはしないのだが。


 いきなり、自分が新しい生命の父親になるのは誰だって混乱するのは無理もなかった。



「……俺には、聞いて欲しかったと?」


「……皐月の友人が彼女ちゃんだし。あっちはあっちで多分やり取りしてるだろうから。俺は……すぐ浮かんだのが裕司君だったからさ?」


「どうも」



 一個違いとは言え、友人のような付き合いをしているので少し気恥ずかしかったが。



「……けど、誰かに直接言えて良かった。なんか、妙に気張ってたのがほぐれた気がした」


「それは良かった」



 役に立てたなら何より……と、裕司は何か飲むなら代わりに淹れようかと聞くと。智也が一緒にコーヒーを淹れるのを手伝って欲しいと言ってきた。


 インスタントではなく、きちんと電動ミルで豆を挽くところから。


 これは、智也が唯一こだわっていることだそうだ。



「濃さを自分で調整出来るから、学生時代から世話になってる」


「うちも(れい)やんがやりますね?」


「その眞島(まとう)ちゃんなんだけど」


「はい?」


「皐月が……式はともかく、披露宴は君達のホテルでしたいって前々から言ってたんだ。相場とか……プランナーさんとかに予約込みで聞いてもらえる?」


「いいですよ」



 会社に貢献と言うわけではないが、請け負うことが増えれば……ホテル側も喜ぶだろう。


 明日あたりに確認しようと智也に約束し。


 怜にも、皐月にバレないように言っていいか聞くと、智也には本職もまじえて頼むと言ってくれた。


 それと、智也が淹れてくれたブラックコーヒーは喫茶店やコーヒーショップ顔負けの美味しさだった。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ