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【完結】ホテルグルメはまかないさんから  作者: 櫛田こころ
第二部拾捌 怜の場合⑩
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第1話 無残なご飯

お待たせ致しましたー

「「鬼はーそとぉー!!」」


「「福はーうちぃい!!」」


「い゛ってて!?」



 二月に入り、バレンタイン……の前に、日本の伝統行事とも言える『節分』を迎えることになった。


 (れい)ら、ホテルの宴会サービススタッフとしてはあまり縁のない行事ではあったが、今年は違った。


 依頼があり、とある中小企業の宴会の一つとして……少し大きめの会場で催されることになったのだ。


 とは言っても、ほとんどが大人参加の宴会ではあるので……いつも通りのビュッフェスタイルの料理提供も加わえ、アルコールの消費も激しかった。



(……豆まきも、今回のは楽だなあ)



 普通なら炒った大豆を使用するが、会場が会場なので後片付けを楽にしようと言う配慮もあり……小分けになっている市販の福豆を投げることになった。


 小袋であれば、余程の衝撃を与えなければ踏んでも袋の中で砕けると言う配慮はとても有難い。


 しかし、小袋に入れてあっても中身は豆なので、当たると鬼役の男性はそれなりに痛がっていた。


 宴会が終わって、撤収と翌日のセッティングを行うのはいつも通りだが……小袋があちこちに散らばって中身が無惨になっているのは、やはり見ていてあまり気持ちの良いものではなかった。



「遠慮ないですね……」



 バイトの優樹菜(ゆきな)も、これには少しゲンナリしていた。



「まあ、しょうがないしょうがない! イワシ料理、ちょいと食べて活力にしようじゃないか」


「……そうですね」



 料理も、一部は節分と言うこともあってイワシを使ったものとなっていた。マリネ、握り、揚げ物に焼き物など。


 適度に残っていたので、先に食べていたキャプテンの紫藤(しどう)に続くように、怜らも突撃することにした。



「あ〜〜……このイワシの揚げもん。飯が欲しい……」


「ほうほう?」



 紫藤が絶賛するので怜もひと口それを食べれば……タレがかかっていたそれは甘辛いだけでなく、少し酸味も感じ取れた。大根おろしも混ぜてあったので……たしかに、これはご飯が欲しくなる味わい。


 これは、和食ではなく……裕司(ゆうじ)が所属する洋食やフランス部門だろう。料理が載っていた皿などが彼らの扱うものだとすぐにわかったからだ。



「あ、ほんとです。……ご飯欲しい」


「しっかし、飯は今回握り飯と寿司だしなあ?」


「立派な炭水化物ですから、これで我慢ですね……」



 怜が裕司を思い出している間に、ふたりもだが他のスタッフもよく食べた。これらの料理は……非常にもったいないが、残飯となる。そして、怜らスタッフが仮に食べなければ生ゴミ行きだ。専用のゴミ袋の中に捨ててしまうのである。


 飲食業のサガと言うべきか、スーパーやコンビニで賞味期限などを設ける以上に、この宴会などでは残飯はすべてその日に片付けてしまうのだ。食中毒問題は、年がら年中あると言われているのと、もし起こしたら営業停止などになり、莫大な資金のやりくりがおじゃんになると……怜は正規雇用の時に、総支配人の都築(つづき)に言われたのだ。

次回は16時15分〜

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